【8月27日 AFP】欧州南東部を襲った前例のない大規模な干ばつで、欧州で最も貧しい地域の1つであるバルカン諸国の農業が深刻な被害を受けている。被害額は合計10億ユーロ(約985億円)を超えると推定されている。

 欧州南東部ではここ1週間、気温が40度を超える酷暑が続いており、大半の地域では雨も全く降っていない。

 この冬、記録的な降雪と寒波に見舞われたボスニアは現在、120年間の観測史上最も暑い夏に苦しんでいる。ボスニア全国農業生産者協会(National Association of Farmers)によれば、干ばつにより同国の農業生産高(約10億ユーロ)は30~40%減少し、被害額はおよそ3億ユーロ(約296億円)に上ると推定されている。果物や牧草のほか、特にトウモロコシへの被害が深刻だという。

 クロアチアの全国農業会議所は、同国での被害額を1億3400万ユーロ(約132億円)以上と見積もっている。

 セルビア政府は、干ばつによる初期被害額を10億ユーロ近くとする速報データを発表した。気温が35度を超えた日が50日を超え、1887年以来最も暑い夏となったセルビアでは24日現在、南西部の人気の観光地ズラティボール(Zlatibor)をはじめ250か所以上で山火事が確認された。

 コソボ商工会議所の予想によれば、同国での今年度の収穫量は例年に比べ20%減となる見込みで、マケドニアもこれと似た状況になると予想されている。食料供給の5割近くを輸入に頼るコソボや隣国のモンテネグロでは、干ばつによる食料価格の高騰も懸念されている。
 
 バルカン諸国を流れるドナウ(Danube)川、サバ(Sava)川、ティサ(Tisa)川といった主要河川は水位が下がっているものの、今のところ船の航行は可能となっている。(c)AFP/Jovan Matic