【8月28日 AFP】若い中国人女性たちが、ひらひらしたドレスにストラップサンダル姿で一列に並び、体重や身体測定の結果が記載されたシートを手に、「容姿コンサルタント」との面接を待つ。

 まるで美人コンテストのように着飾った女性たちは、この奇妙なコンテストに応募した1000人以上の中から、最終選考の50人に選ばれることを目指している。選考では容姿、学歴、家庭環境、それに占星術的な相性までありとあらゆる項目が審査され、最終選考に残った50人は、総資産1億元(約12億円)以上の富豪32人とお見合いをするチャンスが得られる。

 女性に求められる条件は厳しい。20~28歳で身長は165センチ以上。美人で優しく、短大卒業以上の学歴が必要とされる。コンテスト創設者のチェン・ヨンシェン(Cheng Yongsheng)氏によると、2か月間に及ぶ複数回の「綿密な試験」と家族への聞き取りで性格を調べ、性格も選考条件に含めるという。

 この日の選考会では、女性たちは「容姿コンサルタント」による審査を受けたほか、ストレスを乗り切る方法についての聞き取りや、親による評価、男性に求めることなどを審査された。

 一方、男性側は、資産総額を証明するとともに20万元(約250万円)の参加費を払わなければならない。参加した男性の半分は離婚経験があり、また半数には子どもがいるという。

 北京(Beijing)の中国企業家単身クラブ(China Entrepreneur Club for Singles)が開催したこの選考会は極端な事例だとはいえ、現代中国で結婚相手を探すことがますます難題になってきていることを反映していると言える。

「そこまでお金持ちになる必要はないの。私はただ、良いライフスタイルを持てるようになりたいだけ」と、濃いマスカラの化粧にきれいなドレスをまとったゼン・シエ(Zeng Xie)さん(25)は語る。

 Zengさんの母親は、北京市内で結婚相手を探すのは無理なのに、娘が故郷に帰ろうとしないと不満をこぼし、こう語る。「最近の子どもたちは忙しすぎて、友達を作る時間もないのよ」

 米エール大学(Yale University)のデボラ・デービス(Deborah Davis)教授(社会学)は、中国では一時的な都市生活が劇的な社会変化や富の急増、そしてモーレス(道徳観)の緩和と組み合わさり、結婚相手を探す過程が複雑化したと説明する。

 中国では、ここ数年で、物質主義を前面に出したデート番組がテレビで人気を博したこともあり、結婚相手を探す人がどんどん増えていることが話題になっている。同番組に出演したある女性が「笑顔で自転車の後部座席に乗るくらいなら、BMWの車の中で泣いている方がましよ」と求婚者を拒絶したことはよく知られている。また、別の出演女性が、握手を求めた男性に対し、手を触れる対価として20万元(約250万円)を要求したこともあった。(c)AFP/Carol Huang