【8月24日 AFP】生後5か月までの乳児に抗生物質を投与すると、肥満児童になる可能性が高まるとの研究論文が、21日の英学術誌「国際肥満ジャーナル(International Journal of Obesity)」に掲載された。抗生物質の使用と体重との関連性を、乳児期から追った調査は初めて。

 米ニューヨーク大学医学部(New York University School of Medicine)の研究チームは、英国のエイボン(Avon)地域で、1991~92年に生まれた子ども1万1532人を対象に健康状態と成長を長期間にわたって調査。その結果、生後5か月までの間に抗生物質を投与された子どもは、そうでない子どもと比べて、身長に対する体重の割合が大きいいことが分かった。

 生後10か月から1歳8か月までの期間では2つのグループ間で体重に大きな差はなかったが、3歳2か月の時点になると抗生物質を投与された子どもが過体重になる可能性は、そうでない子どもたちよりも22%高かった。

 鍵を握るのは、抗生物質の投与が生後何か月の時点で行われたかという点だ。例えば、生後6か月から1歳2か月に抗生物質を投与された子どもが、その後の人生で特に体重が大幅に増えるということはなかった。

 また、生後1歳3か月から1歳11か月の間に抗生物質を投与された子どもは、7歳ごろまでの肥満度を表す体格指数(BMI)がやや高めではあったが、過体重や肥満になるほどの大幅な体重増加はなかった。

■抗生物質が腸内の善玉菌も殺す?

 論文の共同執筆者、レオナルド・トラサンデ(Leonardo Trasande)氏よると、「肥満は不健康な食生活と運動不足に起因すると考えられがちだが、実際はもっと複雑であることが、少しずつ指摘され始めている」という。

「カロリーの吸収には、腸内細菌が非常に重要な役割を果たしているとみられる。だが、早い時期に抗生物質を投与されると、栄養素を体に取り込む善玉菌まで殺しているのかもしれない」(トラサンデ氏)

 もう1人の共同執筆者のジャン・ブルーステイン(Jan Blustein)氏も報道発表文のなかで、「畜産農家は何年も前から、肉牛の体重を増やすには抗生物質が有効だと知っていた」と説明。また調査結果の確証には、さらなる研究が必要だとしたうえで、「今回の綿密な研究は、特に子どもにおいて抗生物質が人間の体重増加に影響を与えることを示唆するものとなった」と結論づけている。(c)AFP