【8月17日 AFP】空手名人が素手で瓦を割れる決め手は腕力ではなく、「脳の力」だとする研究結果を英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)の研究チームが英医学誌「Cerebral Cortex(大脳皮質)」最新号に発表した。

 同大医学部のチームが、空手の有段者12人と新人12人の2つのグループの「突き」を比較したところ、有段者には肩と腕の動きのピーク速度を調整する能力があり、高加速でより強い衝撃力を生み出していることを突き止めた。

 次に2つのグループの脳スキャン検査を行ったところ、パンチ力の強い有段者の空手家の脳では、脳内の情報処理領域間の信号を伝達する白質の構造に変化があることが分かった。この変化は空手の経験年数が長いほど多かった。

 研究を行った同大のエド・ロバーツ(Ed Roberts)氏は「空手の有段者はパンチの動作を、新人にはできないレベルで調整しながら何度も繰り返すことができる。この能力は小脳(運動制御をつかさどる部位)の神経回路の微調整に関連すると考えられる」と述べた。空手の技を習得していく過程で、脳の活動パターンが適応し技も向上していくとみられる。(c)AFP