【8月11日 AFP】ロンドン五輪の陸上男子100メートルと200メートルで2冠を達成したジャマイカのウサイン・ボルト(Usain Bolt)は9日、ジャマイカ勢のドーピングを疑う発言を行ったとして、米国の元陸上選手カール・ルイス(Carl Lewis)氏に対する敬意を失ったことを明らかにした。

 五輪史上初の2大会連続短距離2冠を達成したボルトは、1936年のベルリン五輪で4個の金メダルを獲得したジェシー・オーウェンズ(Jesse Owens)氏を尊敬し、五輪に4度出場し9個の金メダルを獲得したルイス氏を尊敬できないと語った。

 ボルトは、「ルイス氏は同じ選手でありながら、他選手を見下して批判的なことしか言わない。彼はもう一度自分に注目を集めたくて、そのような発言をしているだけだと思う」と語っている。

 ロンドン五輪では陸上競技よりも人気の少ない自転車のBMXなどに興味があると話していたルイス氏は、2008年に行われた北京五輪でボルトが男子100メートルと200メートルの2冠を達成した後、「批判するつもりもなければ確信を持っているわけでもない。本当のことはわからないが、すべての人がより精密なドーピング検査を迫られた時、受ける必要はないと言い切れるだろうか。陸上競技では特にね」とドーピングを疑う発言をしていた。

 これを受けてロンドン五輪組織委員会のセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長は10日、ボルトとジャマイカ代表の選手が、正式なドーピング検査を受けていることを確信しているとの見解を示した。

 近い将来、国際陸上競技連盟(International Association of Athletics FederationsIAAF)の会長就任を目指すことを明らかにしているコー会長は、「そのような発言は直接聞いていないが、カール・ルイス氏とウサイン・ボルト選手の両者に対する私の称賛の意は変わらない」と話し、競技者には様々な検査が義務付けられており、ジャマイカ代表を疑う余地はないと語った。

 またコー会長は、ジャマイカ勢が「五輪以外で検査を受けていないと信じるに至る理由がない。IAAFとジャマイカ陸上競技連盟(Jamaica Athletics Administrative AssociationJAAA)は、国内外での検査の重要性や手順を理解していると考えている」と語っている。(c)AFP