【8月13日 AFP】映画『アルマゲドン(Armageddon)』(1998)では、主人公のブルース・ウィリス(Bruce Willis)は、巨大な小惑星から地球を救うために核爆弾を使った。だが、このシナリオには少々の科学と多量のフィクションが入っている、と英物理学者らが7日発表した。

 この論文は、英レスター大学(University of Leicester)の物理学研究紀要「ジャーナル・オブ・スペシャル・フィジックス・トピックス(Journal of Special Physics Topics)」で発表された、「Could Bruce Willis Save the World?(ブルース・ウィリスは世界を救えるか?)」と題されたもの。

 研究チームは、ブルース・ウィリスが爆発させた核爆弾による小惑星への影響について、「安っぽい花火」程度と試算する。また、爆発のタイミングがあまりに遅すぎたので、いずれにせよ地球は終末を迎えていただろうと述べる。

「われわれの現在の技術では、地球をこのような小惑星から、このような手段で守ることはできない」

■厳しい条件、威力と距離

 映画『アルマゲドン』では、米航空宇宙局(NASA)にから指名される腕利きの石油採掘人のブルース・ウィリス。近未来に地球と衝突するとされる、米テキサス(Texas)州ほどの大きさの小惑星から地球を守るべく、小惑星に着陸して核爆弾を設置する。この爆弾の爆発により小惑星は2つに割れ、それぞれが地球の両側を通過して、地球は救われる、というあらすじだ。

 だが研究チームは、およそ直径1000キロメートルの小惑星を2つに割るには、これまで地球上で爆発したことのある最も威力の大きい核爆弾――1961年に旧ソ連が実験場で爆発させた「ビッグイワン(Big Ivan)」――の10億倍の威力の爆弾が必要だと指摘する。

 いずれにしても、小惑星の発見は、映画よりもずっと早期でなければならない。小惑星は地球から130億キロメートルの距離、つまり太陽系外で爆発させない限り、2つに分割した後に地球に衝突してしまうのだ。

■代案は?

 2012年の12月21日が世界の終わりの日であることをマヤ暦が示唆していると言う人もいるが、仮に事実であれば、われわれにはあと数か月しか残されていないことになる。

「実現可能な方法の1つは、小惑星に推進装置を設置して方向を変えるという方法だ」と論文共同執筆者のベン・ホール(Ben Hall)氏(22)は語り、「どのような手法であっても、非常に早期の発見と非常に綿密な実施計画が必要になるだろう」と結論づけた。(c)AFP