【8月7日 AFP】シリアでの騒乱の影響でシリア国境にあるトルコのアンタキア(Antakya)を訪れる観光客の姿が見られなくなった――ただホテルは記者たちでいつも満室状態にあるが、ホテル関係者の中には「この好景気は長続きしない」と口にする者もいるようだ。

 全長900キロメートルに及ぶトルコとシリアの国境。国境沿いには多くの難民キャンプが設営され、4万5000人以上のシリア難民が避難生活を送っている。シリア軍の離反兵士からなる反体制派戦闘員たちの拠点も多い。

 その西端にあるアンタキアのとあるホテルのフロント責任者は、「ホテル業界はシリアの難局で利益を上げている。悪い日でも宿泊率は70~80%だ。過去にはアラブの観光客がホテルを埋めた。今はその大半が記者に代わった」と語る。

 これまで、サウジアラビアやレバノン、ヨルダンからシリアを経由してイスタンブール(Istanbul)やアンタルヤ(Antalya)などのトルコの都市へ向かう観光バスは、アンタキアでいったん停車することが多かった。しかしシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領の退陣を求める反体制運動が、この観光客の流れを止めてしまった。

 観光客は代わりに空の便を使い始めており、地元当局者らはアンタキアに航空便を誘致しなければ観光客が同地区を訪れなくなると懸念している。別のホテルのフロント責任者は、「記者を中心に、ホテルのゲストが増えているのは事実だ。シリア難民や反体制派もいる。だがこれは人工的な顧客増加だ」と将来への不安を吐露した。(c)AFP/Fulya Ozerkan