【8月6日 AFP】7月20日から政府軍と反体制派の間で激しい戦闘が続いているシリア北部の都市アレッポ(Aleppo)では5日、政府軍が航空機で反体制派を攻撃した。

 反体制派組織、シリア国民評議会(Syrian National CouncilSNC)は、政府軍は歴史的・考古学的に貴重な建物も攻撃したと批判した。アレッポは1986年に国連教育科学文化機関(ユネスコ、United Nations Educational, Scientific and Cultural OrganizationUNESCO)の世界遺産に登録されている。

 シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると反体制派は4日、アレッポの国営テレビが入っている建物を襲撃したが、政府軍の砲撃を受けたため退却した。

■政府軍、アレッポを包囲 「メーンコースはこれから」

 政府側は、2万人を超える部隊がアレッポの包囲を完了し、近く本格的な攻撃を開始するとしている。匿名のシリア軍高官はAFPに、「テロリストを掃討するには市街戦が必要になるとみられるため、戦闘は長期化するだろう」と語った。「全ての増援部隊は既に到着し、アレッポを包囲している。攻撃開始の準備は整った。命令を待っている状態だ」

 政府系紙アルワタン(Al-Watan)によると、政府軍はアレッポで「テロリスト数百人」を殺害したが、まだ「6000~8000人が残っている」という。

 別のシリア政府高官は反体制派もアレッポに増援を送っていると指摘し、「アレッポをめぐる戦いはまだ始まっていない。今起きていることは前菜に過ぎず、メーンコースはこれからだ」と述べた。

■ダマスカスで反体制派がイラン人を拘束

 一方、反体制派の自由シリア軍(Free Syrian ArmyFSA)は4日、首都ダマスカス(Damascus)で、バスで移動していたイラン人48人を拘束した。

 FSAは5日、48人は主に偵察を行っていたシリア政権側の民兵組織シャビハ(Shabiha)の構成員で、取り調べた結果、イランの革命防衛隊の将校もいたと発表した。

 シリアの友好国であるイランは、シリアに軍の部隊を派遣していないと繰り返している。イラン政府は、捕らえられたのはダマスカスの聖地を巡礼していた人たちだとして、カタールとトルコに48人の解放に力を貸すよう求めた。(c)AFP/Iskandar Kat