■優先されない「民意」

 日本の同性愛者たちはオバマ政権の意思表示を歓迎したが、日本在住25年の男性同性愛者デビッド・ワグナーさんは、その効果ははかないのではないかと懸念している。「日本を含む、民意が優先されないような国々では、あまり大きな影響は及ぼさないのではないかと思う」

「日本は他の多くの場所よりも明らかに寛大だ」。日本ではゲイやレズビアンがあからさまな敵意に出くわすことは少ない。それは受容的態度というよりも「不可知論的で、異なる宗教を混ぜ合わせる」ような国民性のせいだとワグナーさんは言う。しかし、その一方で「日本の寛大さにも限界がある」とも指摘する。

 オバマ氏が現職の米国大統領として初めて同性婚への支持を表明してから1週間後、東さんは日本のレズビアンやゲイ、バイセクシュアルのコミュニティにとってささやかな勝利をもたらした。同性カップルの結婚式を東京ディズニーランド(Tokyo Disneyland)で挙げることができることになったためだ。ただし日本の法律は同性婚を認めていないため、式は法的根拠をもって行われるものではないことをディズニーランド側は確認している。

 一部の国ではすでに長年認められている様々な結婚の形を日本の法律は認めておらず、法で認められた婚姻と同等の権利も与えていない。

 婚姻に関する法律は第2次世界大戦以降、ほとんど変化がなく、婚姻届は夫婦同氏でなければならないとされている。また女性は離婚すると6か月間、再婚を禁じられており、離婚後300日以内に生まれた子供は自動的に前夫の子供とされる。相続では同じ姉妹兄弟でも、嫡出子に比べて非嫡出子の権利が限られている。

 女性の法定婚姻年齢は16歳だが、男性は18歳まで待たねばならない。子供のいる夫婦が離婚した場合、片方の親は完全に親権をあきらめなければならず、多くの場合、それは父親が疎遠になり、いないような状態になることを意味している。