【8月3日 AFP】混迷を深めるシリア問題で国際連合(UN)とアラブ連盟(Arab League)の合同特使を務めてきたコフィ・アナン(Kofi Annan)前国連事務総長は2日、任期切れとなる今月31日で特使を辞任する意向を表明した。

 スイス・ジュネーブ(Geneva)で急きょ記者会見したアナン氏は、国連安全保障理事会(UN Security Council )での「絶え間ない名指しの非難合戦」によって、自らが仲介した6項目の停戦案の実施が妨げられたと非難。「私は当然得られるべき支援を全く得られなかった」と苦言を呈した。停戦案は4月12日から政府と反体制側の双方が停戦すると定めていたが、シリアで停戦が実現することはなかった。

 アナン氏の「名指しの非難合戦」批判にもかかわらず、ジェイ・カーニー(Jay Carney)米大統領報道官はロシアと中国が3つの対シリア決議案に拒否権を行使したことを非難。一方、ビタリー・チュルキン(Vitaly Churkin)露国連大使は、ロシアはアナン氏を強力に支援してきたと反論し、英ロンドン(London)を訪問中のウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領は「大変残念だ」と述べた。

 また、シリア外務省はアナン氏の辞任表明に遺憾の意を示すとともに、「シリアの不安定化を図ってアナン氏の任務を妨害した国々」を非難した。潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)国連事務総長はアラブ連盟と協力してアナン氏の後任者選びに着手したことを明らかにした。(c)AFP