【8月1日 AFP】ロシアの連邦捜査委員会は7月31日、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領を公然と批判するカリスマ的な反政権運動指導者のアレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏(36)を横領の罪で起訴した。有罪となれば最大10年の禁錮刑が言い渡される。

 連邦捜査委員会によると、2009年の地方政府高官による材木契約においてナワリヌイ氏が非公式な顧問として果たした役割が捜査の対象となっている。また、捜査中、ナワリヌイ氏がモスクワ(Moscow)から出ることが禁止された。

 反汚職運動でその名を知られた人気企業弁護士のナワリヌイ氏は、捜査当局者による聴取後に、青ざめた顔で記者団の取材に応じた。この聴取で、ナワリヌイ氏に対する罪状は、重大な経済犯罪に格上げされたという。

 ナワリヌイ氏は、記者団に「何か完全におかしな、とても奇妙なことが起きた。というのも彼らは起訴の背後にあるストーリーをまるっきり変えてきたからだ。捜査当局者がこのストーリーを証明できるとは思えない。だがおそらくできるのだろう」と語った。

 連邦捜査委員会はウェブサイトで、追加の「経済的な研究」により、ナワリヌイ氏が横領を行う犯罪集団を組織していたことがわかったとして、ナワリヌイ氏の罪状を最高刑禁錮5年の罪から最高刑禁錮10年の罪に変更したと発表した。

 ナワリヌイ氏の弁護士Vadim Kobzev氏は、ロシアの司法関連通信社RAPSIに対し、「まるでナワリヌイ氏が禁錮7年を言い渡されるかのような様相だ」と語った。

 3回目の大統領就任に抗議デモが相次いだプーチン氏は、活動家を投獄するために司法制度を利用しない考えを強調している。しかし独立系のDozhdテレビのインタビューに応じたナワリヌイ氏は、政治事件における逮捕の指示が「プーチン氏から直接下されている」ことは間違いないと指摘した。

 またナワリヌイ氏は、モスクワで5月6日に行われた大規模な反政権デモを組織した罪にも自分が問われる可能性があると述べた。同デモは機動隊とデモ隊の衝突に発展し、デモ後の捜査でこれまでに14人が拘束されている。(c)AFP/Anna Malpas