【7月31日 AFP】イタリア・ローマ(Rome)の古代遺跡コロッセオ(Colosseum)の監督責任者は30日、専門家による調査の結果、コロッセオの南側が約40センチ沈下していることが分かったと発表した。

 監督責任者のロッセラ・レア(Rossella Rea)氏はAFPに「原因は幾つか考えられる。建設時の欠陥の可能性もあるが、それにしては40センチの沈下幅は大きすぎる。土台部分の問題かもしれない」と話した。レア氏は沈下の原因調査を環境地質学地球工学研究所(IGAG)とローマ・サピエンツァ大学(Sapienza University of Rome)に依頼した。結果は1年ほどで公表される見通し。

 約2000年前の西暦80年に完成した円形闘技場のコロッセオは交通量が多い交差点の中心部にある。前年12月には一部が崩落し、2010年にも同様の損傷報告があるなど劣化が問題になっており、3年かけて修復作業を行い、観光客の立ち入りを認めるエリアも25%拡大する計画になっていた。

 当初3月だった修復作業開始は7月に延期されたが、レア氏によれば年内に着手できるか不透明な状況だという。31日にイタリア文化相がコロッセオ修復作業の最新スケジュールを発表する予定だ。

 高級靴メーカー「トッズ(TOD'S)」グループのディエゴ・デッラ・ヴァッレ(Diego Della Valle)会長兼CEOが修復作業に2500万ユーロ(約24億円)の資金を出すと表明したが、労働組合の抗議によって作業は延期されてきた。同氏は不正行為の疑いで捜査されたことを受けて今年1月、資金援助を撤回する可能性に言及していた。(c)AFP/Ella Ide