【7月29日 AFP】27日のロンドン五輪開会式で放映された映画「007」シリーズを下敷きにしたビデオについて、製作に関与した英国放送協会(BBC)の関係者は28日、サプライズ出演した英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II、86)が「1回のテイク」で撮影を終えたことを明らかにした。

 ビデオはBBCが事前に撮影。俳優ダニエル・クレイグ(Daniel Craig)演じる007シリーズのジェームズ・ボンド(James Bond)がタクシーでバッキンガム宮殿(Buckingham Palace)に到着し、女王に付き添ってヘリコプターで開会式会場のスタジアムに向かうという内容だった。ビデオ放映に合わせてスタジアム上空には本物のヘリが現れ、ボンドと女王に扮した2人がパラシュートで降下すると、スタジアムにビデオと同じドレスを着た女王本人が登場。女王がこれまで映像作品に出演したことはなかったため、一連の場面は開会式のハイライトの一つとなり、注目を集めた。

 BBCでドラマのディレクターを務めるニコラス・ブラウン(Nicholas Brown)氏は、女王の演技は完璧だったと称賛。英高級朝刊紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)によると、同氏は「女王の撮影は1テイクで終わった。素晴らしい演技力で、プロ意識があった」と振り返った。

 ビデオは約4分半の長さで、女王が飼っているコーギー犬のモンティ、ホーリー、ウィローの3匹も登場した。

 開会式でこうした演出が行われることは、トップシークレット扱いとされていた。英大衆朝刊紙サン(Sun)は4月1日、女王とクレイグさんの出演を大筋で伝えたものの、エープリルフールの冗談と受け止める向きが多かった。(c)AFP/Robin Millard