【7月27日 MODE PRESS】日本ファッションが持つ創造性と、その力強いデザインに潜む文化的背景に焦点をあてた「Future Beauty 日本ファッションの未来性」が7月28日から10月8日まで東京都現代美術館(The Museum of Contemporary Art Tokyo)で開催される。

日本が世界においてファッションのアイデンティティを確立したのが1980年代前後。“黒いボロ”といわれた山本耀司、川久保玲らによるセンセーショナルなコレクションの発表により、それまでファッション帝国として君臨していたヨーロッパ文化が揺らいだ。当時その存在が世界に熱い議論を巻き起こしたことは、今となっては周知の事実。日本ファッションは、21世紀のファッションの方向性を示唆する衣服革命ともいえるだろう。本展では、三宅一生(Issey Miyake)、山本耀司(Yohji Yamamoto)、川久保玲(Rei Kawakubo)らが果敢にも1980年代前後に、その力強い表現力と日本文化をひっさげ世界に切り込んでいった当時から、彼らのDNAを引き継ぐ1980年代に生まれた若いデザイナーたちによって作り出された作品100点を一堂に展示している。これまでの流れを踏まえ、今後日本ファッションがどのような未来に向かっていくのか、その未来性を問う。

■深井晃子 京都服飾文化研究財団チーフ・キュレーター

「日本ファッションは三宅、山本、川久保の世界に誇る日本ファッションの巨匠たちを輩出した。いまや幻とさえいわれている彼らの初期の作品と、日本ファッションのDNAを継承している若いデザイナーたちによる作品100点を一堂に集めました。国内外において初めての大規模展覧会です。すでにロンドンとミュンヘンで開催し、高く評価をいただいた。

今回東京では、あらたに注目されている14ブランドも加えて、アップデートした内容となっています。

展示会場は、陰翳礼讃、平面性、伝統と革新、日常にひそむ物語という4つのセクションによって構成されています。これによって、日本ファッションの革新性、前衛性、創造性、未来性を浮かび上がらせようとしています。“陰翳礼讃”では、ヨウジヤマモトとコムデギャルソンの作品を中心に展示しており、日本デザイナーの特性といえる色彩の美意識を浮かび上がらせています。“平面性”では、衣服の構成におけるアプローチです。日本ファッションの特徴的な思考を平面に表現しました。“伝統と革新”では、世界的にも高いレベルを持っている日本の素材に対する展示です。日本の伝統を現代に脈々と受け継いでいる作り手と、素材に対して優れた感性を持っている着る側、その高い意識が表れている内容です。“日常にひそむ物語”では、若い世代の感性を見つめます。1980年代から30年後は・・・というセクションです。今メディアが激変しており、ファッションの購買形態も変容している。ファッションシステムへの疑問をデザイナーたち自身も持っている。彼らを取り囲む非常に難しい問題を、それに対してかれらがどのように解決していくのか、それをこのセクションでは考えていきたい。

日本ファッションの全貌を初めて解き明かす本展が、日本ファッションについて考えるきっかけになれば。その流れのなかに見えてくる未来性について議論を呼び起こしたいと願っています」【岩田奈那】

■展覧会概要
「Future Beauty 日本ファッションの未来性」
会期:2012年7月28日(土)~10月8日(月・祝)
会場:東京都現代美術館 企画展示室3F
休館日:月曜日(ただし9月17日、10月1、8日は開館)、9月18日
開館時間:10時~18時(入場は閉館の30分前まで)
観覧料:一般1,000円(800円)/大学生・65歳以上800円(640円)/中高生500円(400円)/小学生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金
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