【7月17日 AFP】シリア政権を離れたナワフ・ファレス(Nawaf Fares)前駐イラク大使は16日、英国放送協会(BBC)のインタビューで、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領が化学兵器を使用する可能性を指摘した。

 シリアの反体制行動が始まった後、大使として最初に政権を離れたファレス氏はアサド政権の存続はもう長くはないとした上で、権力を保持するためならばアサド大統領は「全シリア国民の根絶」も辞さないだろうと警告した。

 それは化学兵器を使用するという意味かとBBCのフランク・ガードナー(Frank Gardner)氏に質問されたファレス氏は、「政権が民衆によってさらに追い詰められた場合、彼(アサド氏)はそのような兵器を使うだろう」と述べた。
 
 さらにファレス氏は、未確認情報だと前置きした上で、既にホムスで化学兵器が使われたという情報もあると述べた。

 シリアは大量の化学兵器を備蓄していることから、近隣諸国はアサド政権が倒れた場合の不測の事態に懸念を募らせている。

■ファレス氏には疑いの目も

 ファレス氏は7月11日にアサド政権を離れたことを発表したが、アサド政権の強硬派と目されていたため活動家の間で疑念も持ち上がった。

 元警察官のファレス氏はシリアの情報機関と密接な関係があった。その後知事になり、シリアがイラクと約30年ぶりに国交を回復すると復交後最初のイラク大使になった。

 同氏が過去に「犯罪的な行為」を行ったと批判する人もいる。シリアの移行政権で一定の役割を与えると西側諸国から懐柔されたのではないかという見方もある。(c)AFP