【7月16日 AFP】米イリノイ(Illinois)州ピオリア(Peoria)を流れるイリノイ川(Illinois River)で、増えすぎた外来種のコイをアーチェリーの弓で射って駆除する「スポーツアトラクション」がひそかな人気となっている。

 アジア産コイの一種、ハクレンは神経質な魚で、ボートのモーター音に驚いて水面高く飛び跳ねる習性がある。この習性を利用し、消防士のネイサン・ウォリック(Nathan Wallick)さんは2011年の夏、楽しみながらハクレンを駆除できる「ピオリア・カープ・ハンターズ(Peoria Carp Hunters)」を副業として立ち上げた。

 1970年代に水質浄化を目的に米国に持ち込まれたハクレンは、90年代初頭の洪水でミシシッピ川(Mississippi River)に大量に逃げ出した後、米中西部を中心に急速に繁殖を拡大して在来種を駆逐。「水中の掃除機」と呼ばれて嫌われているほか、釣りやボート遊びなどにも多大な影響を及ぼして問題となっている。

 米国ではコイを食べる習慣はないが、被害の大きい地域の各自治体はハクレンを「シルバーフィン(silverfin)」「ケンタッキー・ツナ(Kentucky tuna)」などと名付けて「ご当地グルメ」化しようと努めている。刑務所や困窮者向けの食材にしようとの議論もある。

 とはいえウォリックさんは、射るのは楽しいが食べる気はしないと一蹴。「ピオリア・カープ・ハンターズ」の顧客が仕留めたハクレンは全て、自宅近くに投棄してコヨーテの餌にしているそうだ。(c)AFP/Mira Oberman