【7月16日 AFP】シリア軍は15日、首都ダマスカス(Damascus)から反体制派の自由シリア軍(Free Syrian ArmyFSA)を撤退させるため、首都近郊の数か所を迫撃砲で攻撃した。

 シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)のラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)代表は「かつて例のない激しさだった」と述べた一方、政府軍はこれらの地区をまだ完全には掌握していないと述べた。これに先立ちシリア人権監視団は、15日にシリア全土で少なくとも55人が死亡したと発表していた。

■外務省が「虐殺」を否定

 人権団体などは、親政権派の民兵組織「シャビハ(Shabiha)」の支援を受けた政府軍が12日に同国中部のタラムセ(Treimsa)村で150人以上を虐殺したと主張している。死者数が確認されればシリアの反体制行動の中では最悪規模の虐殺になる。

 しかし、15日の首都近郊への砲撃が始まる直前にダマスカスで記者会見を開いたシリア外務省の報道官は、タラムセ村で政府軍は高度な兵器を使って5つの建物だけを攻撃の対象にし、同村で起きたのは「虐殺ではなく正規軍と武装勢力の衝突だった」と述べた。

 また同村で政府側が使ったのは小火器と携行式ロケット弾(RPG)で、政府軍がヘリコプターと重火器を使用したとされていることも否定した。

 また死亡者を埋葬したという人からの情報として、タラムセ村で死亡したのは武装した37人と民間人2人だけだったとして、150人以上が死亡したという情報も否定した。(c)AFP