【7月2日 AFP】サッカースペイン代表全23選手の中で唯一タイトル獲得経験のなかったジョルディ・アルバ(Jordi Alba)が、1日に行われた欧州選手権2012(UEFA Euro 2012)決勝で自身初のトロフィーを手にした。

 今大会でレギュラーとなり全6試合に出場して通算キャップ数を11とした23歳のアルバは、同決勝のイタリア戦でゴールを決め、チームは4-0で勝利した。

 アルバは「この欧州選手権で信じられない夢が現実になった。他の選手たちは(欧州選手権2008(Euro 2008)、2010年サッカーW杯(2010 World Cup)で優勝を果たして)もう歴史に名を刻んでいたけれど、僕にとっては初めての欧州選手権だった。でも、これからは彼らと同じように振舞える。いつかはピンと来るかもしれないけれど、まだ信じられない。この数日間に自分に起きたことは本当に幸せなことだ」と語った。

 移籍金1400万ユーロ(約14億円)でFCバルセロナ(FC Barcelona)に加入したばかりのアルバは、今大会の予選では1試合の出場に留まっていたものの、今では代表の左サイドバックに定着した。腕を勢いよく振り全速力でピッチを上下する姿を見れば、それも不思議なことではない。ロベルト・カルロス(Roberto Carlos)をほうふつさせるアルバは矢のようなスピードを持ち、ピッチを駆け上がることをいとわず、危険を顧みずに攻め上がる。

 決勝戦の前半41分にみせたアルバのゴールは、チームメイトの見事なチャンスメイクもあったが、そのスタイルを示すものだった。

 ホイペット犬のように自陣から駆け出したアルバは、そこから振り返ることもせず、対応に遅れたイタリアのイニャツィオ・アバーテ(Ignazio Abate)は付いていくことすらできなかった。司令塔のシャビ・エルナンデス(Xavi Hernandez)はタイミングを見計らいながらプレーを遅らせると、アルバがディフェンスラインを突破するタイミングでパスを出した。オンサイドでゴールキーパー(GK)のジャンルイジ・ブッフォン(Gianluigi Buffon)と一対一となったアルバは、落ち着きを払って左足でシュートを蹴り込み、試合を決定付けるチームの2点目を挙げた。

 大会を通じて目をつけていたとすれば、決勝でのその貢献に驚きはなく、アルバは大会ベストイレブンの選出も確実とみられている。アルバが代表初ゴールでその突進する力や冷静な判断力を見せたことで、バルセロナが高額の移籍金を払ってでも獲得に乗り出したその理由が世界中に示された。

 自身初のトロフィーを獲得したばかりだが、世界最高峰のクラブと代表チームでプレーすることで、アルバはこれから数年でさらにトロフィーの数を増やしていくだろう。(c)AFP/Barnaby Chesterman