【6月27日 AFP】シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領は26日、シリアは戦争状態にあると述べ、反体制派を鎮圧するよう新たに任命された閣僚らに命じた。

 反体制派の民衆蜂起は16か月目に入り、緊張はいっそうの高まりをみせている。国営シリア・アラブ通信(SANA)によると、アサド大統領は、シリアが「まぎれもない戦争状態」にあることを認め、「戦争状態である以上、われわれの全ての政策と能力を使って勝利を確保しなければならない」と新閣僚らに語った。

 シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、26日にはシリア国内で民間人68人、政府軍兵士41人、反体制派戦闘員7人の116人が死亡した。

■米政府「アサド氏は権力失いつつあるが捨て身」

 米政府は、シリア軍将兵の国外逃亡や、首都ダマスカス(Damascus)近郊でも激しい戦闘が起きたことを挙げ、「捨て身の」アサド大統領が徐々に権力を失ってきていると指摘する。

 ジェイ・カーニー(Jay Carney)米大統領報道官は「アサド氏はゆっくりと権力を失いつつある。ゆっくりすぎるとはいえ」と述べ、軍幹部が最近ヨルダンとトルコに逃れたこともアサド政権が国内を掌握できなくなっていることのもう一つの証左だと語った。

 一方でカーニー報道官は「だが、アサド氏が航空戦力と(政府系民兵組織の)シャビハ(Shabiha)を投入し続けていることから、同氏がいかなる代価を払ってでも権力にしがみつこうと捨て身になっていることは明らかだ」と述べた。

 また米政府は、前週のシリア軍によるトルコ軍機撃墜について北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるトルコへの支持を表明。さらに、シリア問題をめぐって30日にスイスのジュネーブ(Geneva)で開かれる予定の国際会合にイランを参加させるべきだというロシアの主張に反対する考えを示した。(c)AFP