【6月25日 AFP】ブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で開かれていた国連持続可能な開発会議(リオ+20、Rio+20)は22日、貧困撲滅と環境保全を両立させる戦略を定めた合意文書を採択し閉幕した。ただしこの戦略をめぐっては、国益を求める各国の野心で損なわれた大失策だとの批判の声も上がっている。

 同地で開催された「地球サミット(Earth Summit)」から20年という節目に国連(UN)加盟191か国・地域の首脳が一堂に会した10日間の会議は、53ぺージの合意文書「われわれの望む未来(The Future We Want)」で、貧困の固定化と環境問題の悪化に懸念を表明。「地球と現代・未来の世代にとって経済的、社会的、環境的に持続可能な未来を推進する」ことを確認した。

 ただ、国連のミレニアム開発目標(Millennium Development GoalsMDGs)に替わる2015年以降の行動目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」を定めることは明記したものの、具体的な目標の設定は先送りされ、今後の議論に火種を残した。実際に目標が決まるまでには長い時間がかかりそうだ。

 また国連の新たな公式用語として、経済と環境の両立を目指す概念「グリーン経済(green economy)」を推進すると提唱したが、これに対しては発展途上国から疑問の声が多く上がっている。

■「利益重視の勝利」「対策に遅れ」…批判集まる

「リオ+20」に対しては、歴史的な機会が台無しになったとの批判も少なくない。英国のエコノミスト、ニコラス・スターン卿(Lord Nicholas Stern)は「迅速で大規模な行動が必要だという有力な証拠をリオ+20は認めなかった」と述べた。

 環境活動家は、2009年のデンマーク・コペンハーゲン(Copenhagen)での第15回締約国会議(COP15)と同じくほぼ失敗に終わったと酷評している。

「今晩リオで踊っている連中は、人類と地球よりも利益を優先する壊れた経済モデルで得をし続ける連中だけだ」と、国際環境団体「地球の友(Friends of the Earth)」のアサド・レーマン(Asad Rehman)氏は非難。国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)のクミ・ナイドゥ(Kumi Naidoo)事務局長は、「リオ+20は壮大な失敗だ」と批判した。(c)AFP/Richard Ingham