【6月19日 AFP】元米大リーグ(MLB)投手のロジャー・クレメンス(Roger Clemens)被告が禁止薬物の使用について偽証を行ったなどとして起訴された裁判で、ワシントンD.C.(Washington D.C.)の連邦地裁は18日、無罪評決を下した。

 クレメンス被告は、偽証罪や虚偽の陳述および公聴会の妨害など、6つの罪状全てで無罪となった。有罪となれば、クレメンス被告には30年の禁錮刑と150万ドル(約1億2千万円)の賠償金支払いが科せられる可能性もあった。

 判決後、地裁前に姿を現したクレメンス被告は「野球人生に多くの努力を注いだ」と切り出し、裁判に関しては「内容の良しあしに関わらず、いろいろな人が自分に関して証言するのを聞いているのは居心地が良いものではない。私を擁護してくれた人には感謝したい。メールや電話をくれたチームメイトのことも、ありがたく思う」とコメント。「今はただ、最初から私の主張を聞いてくれた弁護士たちに感謝したい。とても苦しい5年間だった」と語った。

 ボストン・レッドソックス(Boston Red Sox)やトロント・ブルージェイズ(Toronto Blue Jays)、ヒューストン・アストロズ(Houston Astros)でプレーしたクレメンス被告は、1999年と2000年にはニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)でワールドシリーズを制覇している。

「ロケット」の愛称で親しまれたクレメンス被告は、24年間の選手生活で通算354勝を挙げてサイ・ヤング賞(Cy Young Award)を7度受賞しており、史上4人しかいない4000奪三振を記録している。

 クレメンス被告へのドーピング疑惑は、MLB機構のコミッショナーを務めるバド・セリグ(Bud Selig)氏の依頼を受けたジョージ・J・ミッチェル(George J. Mitchell)元上院議員による薬物調査報告書が発端。2007年12月に公表されたそのリストの中で最も注目を集めたクレメンス被告は、汚名をそそぐために米連邦議会の公聴会に出席した。

 クレメンス被告の元トレーナーであるブライアン・マクナミー(Brian McNamee)氏が数回にわたりステロイドとヒト成長ホルモン(Human Growth Hormone 、HGH)を注射したと公聴会で証言したものの、クレメンス被告は断固として不正行為は行っていないと主張していた。(c)AFP