【6月13日 AFP】国連(UN)平和維持活動担当のエルベ・ラドゥス(Herve Ladsous)事務次長は12日、国連本部で記者団に対し、シリアは完全な内戦の状態にあると述べた。

 記者団からシリアは内戦の状態なのかと尋ねられたラドゥス事務次長は「そう言えると私は思う。現在シリア政府が領土のかなり広い範囲を失い、いくつかの都市が反体制派側の手に落ち、シリア政府がそれを奪い返そうとしているという状況なのは明らかだ」と述べた。

「暴力の水準は大幅に高まり、状況の性質が変化したことを示している。戦車や重火器だけでなく、ヘリコプターが使われているという報告も確認した。反体制派も抵抗しているため、戦闘は大規模になってきている」(ラドゥス事務次長)

 潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は前週、シリアに内戦が迫っていると発言していたが、ラドゥス事務次長はシリアが内戦に突入したという認識を示した国連幹部としては最高位の人物になった。

■国連監視団の車列に銃弾

 シリア北西部のアル・ハフェ(Al-Haffe)が軍に包囲され、女性や子供を含む多数の民間人が脱出の調停を求めているとの報告を受け、シリアで活動している国連の監視団は12日、現地に向かったが、近隣の政府派の村の住民らが監視団に石を投げたり金属の棒で車両を叩いたりしたため、引き返した。
 
 監視団は発砲も受けたが、誰が撃ったのかは分かっていない。ラドゥス事務次長は、監視団員1人のブーツに銃弾が当たり、負傷したとみられると語った。

 別の国連幹部が匿名を条件に語ったところによると、監視団の車両は少なくとも20発の銃弾を受け、車列を取り囲んだ群集はシリア政府の旗を持っていたという。

 シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、アル・ハフェとその周辺では前週、少なくとも兵士68人、民間人29人、反体制派戦闘員23人の120人が死亡し、数百人が負傷したと発表している。(c)AFP