【6月12日 AFP】32年前にオーストラリアの「エアーズロック(Ayers Rock、ウルル、Uluru)」でアザリア・チェンバレン(Azaria Chamberlain)ちゃん(当時生後9週間)が行方不明になった事件で、現地の検視当局は12日、アザリアちゃんは野生犬に襲われて死亡したと結論づけた。

 エリザベス・モリス(Elizabeth Morris)検視官は同国北部ダーウィン(Darwin)の治安判事裁判所で、ディンゴ(オーストラリアに生息する野生のイヌ)が幼い子供を襲って連れ去り、死に至らしめる能力を持っていることを示す証拠があるのは明らかだと述べ、ディンゴがアザリアちゃんをテントから引きずり出して連れ去ったと結論付けた。

 アザリアちゃんは1980年8月17日、両親に連れられてエアーズロック近くでキャンプをしていた際に行方不明になった。母親のリンディ(Lindy Chamberlain)さんはディンゴがアザリアちゃんを連れ去ったと証言した。

 当初の死因審問もこれを支持したが、リンディさんは殺人罪で有罪となり、当時リンディさんの夫だったマイケル(Michael Chamberlain)さんも共犯とされて執行猶予付きの有罪判決を受けた。

 だが1988年、ディンゴの巣からアザリアちゃんの衣服の切れ端が見つかったことからリンディさんらに対する有罪判決は覆された。1995年の3度目の死因審問ではアザリアちゃんの死因は不明とされていた。

 この事件はオーストラリアで大きな注目を集めた。アザリアちゃんの遺体は見つかっていない。(c)AFP

【関連記事】豪を象徴する犬「ディンゴ」、世界最古の犬種とDNA研究