【6月13日 AFP】南米ボリビアのエボ・モラレス(Evo Morales)大統領は11日、伊ローマ(Rome)の国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganisationFAO)本部を訪れ、アンデス(Andes)地方で数千年前から食べられてきた穀物キヌア(キノア、キンワとも)は食糧危機の解決手段になり得るとして、その利点を力説した。

 キヌアは栄養が豊富で、健康意識の高い人々の間で人気がある。ボリビアはキヌア生産量が世界で最も多く、国連(UN)も地元農家と有機農業の支援策の1つとしてキヌア栽培を奨励している。

 FAO本部で行われた式典で「キヌア大使」に任命されたモラレス大統領は「世界的な食糧危機に際し、アンデスの人々はさまざまな対応策を持っている。その1つがキヌアだ」と語った。

 自らもかつてキヌアとコカの生産者だったモラレス大統領によれば、米航空宇宙局(NASA)もキヌアを最も栄養バランスが良い健康的な食物として認定したという。「キヌアは宇宙飛行士にとって理想的な食べ物と見られている」(モラレス大統領)

 FAOは2013年を「国際キヌア年(International Year of Quinoa)」と定め、食糧安全保障や栄養状態の改善、貧困撲滅の手段として、この「スーパー穀物」の普及を推進する計画だ。FAOのジョゼ・グラジアノ・ダ・シルバ(Jose Graziano da Silva)事務局長は、キヌアの栄養価を多くの人に知らせたいと述べた。
 
 キヌアはボリビアの他、アルゼンチン、ブラジル、チリ、エクアドル、ペルーでも栽培されているが、世界のそれ以外の地域では近年まであまり知られていなかった。(c)AFP