【6月12日 AFP】中国・湖北(Hubei)省の省都、武漢(Wuhan)市で11日、濃いかすみが立ちこめ、当局は住民に屋内にとどまるよう呼びかけた。

 武漢の住民らによると11日の朝、やや黄色と緑がかったかすみが突然発生したため、人々は慌ててマスクをしたという。リ・ユンツォン(Li Yunzhong)さんは、「事務所の窓から外を見たとき、自分の目が信じられなかった」と語った。「最初は雨が降るのかと思った。武漢に31年間住んでいるがこんなことは一度もなかった。正体が分からないので心配です」

 インターネットには武漢市の北東にある化学コンビナートで爆発があったらしいといううわさが流れた。国営新華社(Xinhua)通信によると、湖北省の環境保護当局は子供や高齢者、心臓や呼吸器の病気がある人は屋内にとどまるよう呼びかけた。

■わらなどを燃やした煙が原因、と国営通信社

 新華社はこのかすみの色を「灰黄色」と表現し、武漢など湖北省の7つの都市で観測されたと報じた。午後2時時点のPM10(捕集効率が50%になる空気力学径が10マイクロメートルになる粒子)濃度は1立方メートル当たり0.574ミリグラムで、毎日の平均値0.150ミリグラムの3倍を超えたという。

 しかし新華社によると、環境保護当局は、かすみの原因は工場での爆発とのうわさを否定。分析の結果、有機物を燃やした際に発生した炭素粒子が増えていたことから、収穫後に農地に残ったわらなどを燃やして処分したことがかすみの原因との見方を発表した。

 しかし、リさんはこの発表に懐疑的だ。「疑わしいと思いますね。この地域では大規模な移動農業は行われていない」。また別の住民はAFPに対し、このかすみを避けるために武漢を離れると語った。

 武漢は産業の中心地で、フランスの自動車大手PSAプジョー・シトロエン(PSA Peugeot Citroen)など多くの外国企業が進出。フランスのアルストム(Alstom)は武漢で石炭火力発電用ボイラーを製造している。(c)AFP