【6月8日 AFP】過酷な競争で知られる中国の大学入試統一試験「高考(ガオカオ)」――「人生を決める」と言われるこの試験に勝ち抜くため、受験生や親たちは「必勝部屋」や「お受験保母」から「合格注射」まで、あらゆる手を尽くす。

 7日行われた今年の試験は、募集人数685万人に対し900万人以上が受験した。一流校の競争は特に激しく、カンニングなどの不正行為もはびこる。今年も、ワイヤレス受信機や隠しイヤホンを販売した容疑などで既に1500人が逮捕された。

■今年は「お受験注射」も登場

 どうにか合格を果たそうと、受験生やその親たちは違法にならない範囲で奇抜な策に訴える。今年は、エネルギーを高める注射や点滴を試験前に打つ受験生が話題になっている。ホルモン注射やピルで月経周期をずらす女子生徒もいたという。

 中国国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)によれば、富裕層の中には全国7300か所の試験会場の近くに家ごと借りた親たちもいる。天津(Tianjin)市のホテルは、以前に宿泊した受験生が試験で高得点を出したという「必勝ルーム」を宣伝した。宿泊料金は通常より最大800元(約1万円)ほど高額だ。受験生の間では、中国で成功を意味する数字「6」や富を意味する「8」が付く部屋番号の人気も高い。

■新産業「高考保母」、生活から勉学まで一括お世話

 統一試験のおかげで新産業も登場している。例えば試験期間中、受験生の面倒を請け負う「高考保母」という職業だ。2009年からこのサービスを始めた会社によれば、この「保母」たちは料理から洗濯まで身の回りの世話をするほか、受験生を精神面から支えたり、家庭教師役も務める。この職に就くには最低でも大卒レベルの学歴が必要だという。サービス料金は、報道によれば10日間で平均4000元(約5万円)程度だそうだ。

 一方、中国中央テレビ(China Central TelevisionCCTV)は受験生たちに向けて、受験の心得を説いたり、不正行為を助けて逮捕され後悔する容疑者の告白を紹介する映像を繰り返し放映し、カンニングを戒めた。

 4日の中国公安部の発表によれば、警察はこれまで試験で不正を行うための機器を販売した疑いで100人超を逮捕した他、1500人を拘束。一連の取り締まりでイヤホンなど6万点を押収した。

 試験監督当局では、ワイヤレス受送信の妨害装置や周波数検出器に加え、受験生の身元確認に指紋スキャナーを導入するなどして不正摘発に努めているという。(c)AFP/Beh Lih Yi

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