【5月18日 AFP】カメはトカゲやヘビよりも、ワニや鳥に近い種であることが遺伝子分析で明らかになったとする論文が、16日の英国王立協会(British Royal Society)の専門誌「バイオロジー・レターズ(Biology Letters)」に発表された。

 2億~3億年前に誕生したとされるカメの祖先の進化過程をめぐっては、生理学に基づいた分類と遺伝子に基づく分類とが食い違い、科学者らの間で意見の対立を引き起こしてきた。

 解剖学や化石研究では、カメや近似の爬虫(はちゅう)類をヘビやトカゲ、ムカシトカゲなどと同じ鱗竜亜綱に分類している。一方、遺伝学ではワニや鳥など主竜類との共通点の方が多いとされてきた。

 だが、米ボストン大学(Boston University)のニコラス・クロフォード(Nicholas Crawford)氏は、AFPの取材に「われわれの研究では、カメは鳥類やワニ類により近い種だということが遺伝学的に示されたとの結論に至った」と説明した。研究チームはこの発見によって動物進化史の長年の謎が解けたとしている。

 クロフォード氏らの研究チームは、過去最大規模の遺伝子分析で先行研究の10倍を超える情報を集め、遺伝学上の説を証明したという。研究では、アカダイショウ、ヌマヨコクビガメ、ニシキガメ、アメリカアリゲーター、イリエワニ、ムカシトカゲ、ニワトリ、キンカチョウ、グリーンアノール(トカゲの仲間)のDNAを比較した。

 これまで分類上の混乱がみられた原因の1つとしてクロフォード氏は、カメの主な身体的特徴がトカゲやヘビなどと共通し、ワニなどとかけ離れている点を挙げている。(c)AFP