【5月13日 AFP】キューバのラウル・カストロ(Raul Castro)国家評議会議長の娘で、性科学者として著名なマリエラ・カストロ(Mariela Castro)氏が12日、カストロ議長は同性愛者の権利向上と同性愛者に対する差別撤廃を支持していると語った。

 マリエラ氏は、首都ハバナ(Havana)で行われた同性愛者の権利を訴える行進に参加し、「(カストロ議長は)性的指向や性同一性に基づく権利を発展させる必要性を主張しており、権利擁護活動をすでにいくつか実施している」と記者団に語った。

 マリエラ氏はキューバ国立性教育センター(CENESEX)の館長で、同性愛者や性別適合手術を受けた人の権利擁護運動を行っている。また、同性婚の承認までは求めない「同性間のパートナーシップ」を合法化する法案の成立を目指しており、年内の審議入りに期待を寄せている。

 父親であるカストロ議長はそうした運動を支持しているのかと記者団に問われると、マリエラ氏は「キューバ議長はこの問題についてすでに話しているが、まだ公表はしていない。だが、議長の政策の一部に入っていることは間違いない」と付け加えた。「議長自ら、このような偏見を抱えて生きるならば、われわれは先へ進むことができないと語った」

 ハバナでは12日、第5回キューバ同性愛嫌悪(ホモフォビア)反対デーを記念した祭典が開かれ、マリエラ氏はコンガダンスを踊るカラフルな隊列を率いて行進した。行進には異性装者約400人が参加した。

■同性愛者差別の歴史に変化のきざし

 今年1月、キューバの人民権力全国会議(国会)は「性的差別や、性的指向と性同一性に基づく差別に対する闘いを含む、あらゆる種類の差別と闘う」決議を採択した。

 キューバでは長年、同性愛は厳しい弾圧の対象だった。同性愛者は1960年代には労働収容所に収容され、1970年代のフィデル・カストロ(Fidel Castro)政権下では排斥されてきた。(c)AFP