【5月11日 AFP】米大統領選で共和党候補選出がほぼ確実となったミット・ロムニー(Mitt Romney)前マサチューセッツ(Massachusetts)州知事は10日、高校時代に同性愛者だと考えられていた男子生徒に集団いじめを行ったとの米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)の報道について、「悪ふざけに行き過ぎがあったかもしれない」として謝罪した。ただ、いじめとされる行為そのものについては「覚えていない」と述べている。

 10日のワシントン・ポスト紙はロムニー氏のかつての同級生数人の話として、同氏がミシガン(Michigan)州のエリート校クランブック・スクール(Cranbrook School)の生徒だった1960年代半ば、金色に染めた髪を片目が隠れるほど長く伸ばしていたジョン・ローバー(John Lauber)さんに対する集団いじめの先頭に立っていたとする記事を掲載した。ローバーさんは当時、協調性のなさやゲイ疑惑などからいじめの対象となっていたという。

 いじめに加わっていた元同級生らが最近になって同紙に打ち明けたという。報道によるとロムニー氏は「あんな格好はだめだ、間違っている」と言い、同級生らにローバーさんを押さえつけさせ、髪を切ったという。元同級生の1人は後にこの件についてローバーさんに謝罪したが、その際ローバーさんは「恐ろしかった」と話していたという。

 この報道についてロムニー氏は、記事掲載から数時間後に出演したFOXニュース(Fox News)ラジオのインタビューで「高校時代には、ばか騒ぎや悪ふざけをたくさんした。中には行き過ぎたものもあったかもしれない」「傷ついた人がいたなら謝る」などと述べた。

 その上で、ローバーさんの髪を切ったという事件そのものは「覚えていない」とコメント。いじめがローバーさんを同性愛者とみなしたためだった可能性についても、「そのような発想は1960年代のわれわれの頭の中にはなかった」と否定した。

 ワシントン・ポスト紙の記事は、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が米大統領としては初めて公式に同性婚支持を表明してから1日もたたないタイミングで発表された。同性婚についてロムニー氏は9日、「結婚は男女間のものだと私は考えるが、異なる見方を持つ人々がいることも理解しているし、これは敏感で繊細なテーマだ」と述べている。(c)AFP

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