【4月30日 AFP】国際サッカー連盟(Federation Internationale de Football AssociationFIFA)の副会長を務めるヨルダンのアリ王子(Prince Ali)はAFPとのインタビューで、ヒジャブ(イスラム教徒の女性が頭髪を覆うスカーフ)を着用した選手を五輪から排除すべきではないとの考えを明らかにした。

 ヨルダンのアブドラ・ビン・フセイン国王(King Abdullah II)の異母兄弟であるアリ王子は、「ヒジャブがイスラム教徒の女性たちの五輪参加を妨害することにはならないだろう」と述べ、五輪はアラブ諸国やイスラム教徒の女性たちが能力を示す絶好の機会になると強調した。

 FIFAは2007年、安全上の理由から試合中のヒジャブ着用を禁止したが、国際サッカー評議会(International Football Association BoardIFAB)は前月、選手が試合中にヒジャブを着用することを許可している。

アリ王子は、「もちろん選手の安全は大切だ。だが、これまで試合で、ヒジャブが原因でけが人が出たとの報告は1度もない」と指摘。「サッカーを愛する全てのヒジャブ着用女性が試合に出場できるよう保証する責任が我々にはある。サッカーは全ての人々のものだ」と語った。

 IFABは7月の会合で、ヒジャブ着用禁止措置の撤廃を批准する見通しだ。

 アリ王子によれば、FIFAもデザイナーや独立技術機関を招いた会合で、試合で着用しても安全な新しいヒジャブのデザインを協議した。医療委員会による安全面での「お墨付き」が7月の会合前にも得られる見込みという。

 ヒジャブをめぐる問題は前年、女子サッカーのロンドン五輪アジア2次予選のイラン対ヨルダンの試合で、イラン代表選手たちがヒジャブを着用していたために出場資格を取り消され、ヨルダン代表でも選手3人が失格となったことで注目を集めた。以降、中東地域では女子サッカー選手のヒジャブ着用を許可すべきとの声が高まっている。

 アリ王子の尽力もあり、国際連合(UN)も、マジックテープで着脱できる安全なデザインのヒジャブならFIFAが管轄する試合において着用する「権利」が選手たちにはあるとの見解を示し、FIFAにヒジャブ着用を許可するよう促している。(c)AFP/Mohammad Qadri Hassan and Ahmad Khatib

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