【4月29日 AFP】豊かな国々の若者が直面している肥満や飲酒といった生活習慣上の問題が、より貧しい国々にも急速に広まっているとの論文が、25日付の英医学専門誌ランセット(The Lancet)に掲載された。

 同論文によれば、高所得国は肥満、運動不足、飲酒、喫煙や不正薬物使用など、非感染性疾患のリスクの増大に対処してきたが、そうしたリスクの波が現在、若年層の事故や感染症、妊産婦の死亡といった問題の抑制策さえ十分でない低中所得国の多くにも及んでいるという。

 研究チームは、人類史上最多の18億人に達しているとされる世界の若者の健康問題について調査を行った。論文では10歳から、脳の発達が完了するとされている24歳までを若者と定義している。

 若者は多くのリスクに直面しているが、それらに関する理解や調査は進んでいないという。

 そうしたリスクには、若者の単一死因として最多の交通事故による死亡のほか、自殺や十代での出産、HIV/AIDSや薬物乱用による疾病などが挙げられている。

 全世界で最も若者の死亡率が高かったのは南アフリカだった。同国での青年期男性の死亡率は高所得国に比べて8倍高く、青年期女性の死亡率は同30倍にも達していた。

 また高所得国27か国で若者の死亡率が最も高かったのは米国で、主な原因は暴力と交通事故だった。2位にニュージーランド、3位にポルトガルが続いた。

 一方、若者にとって最も安全な高所得国はシンガポールで、死亡率は米国のわずか3分の1だった。オランダと日本がそれに続いている。

 また論文では若者の健康問題を引き起こしている新しい要因として、糖分や脂肪分、塩分を多く含む食品の販売や、たばこ産業による10代の少女に向けた販売戦略を指摘している。

 またソーシャルメディアも精神的または感情的リスク要因として挙げられており、近年顕著になってきているインターネット上でのいじめや、携帯メールで性的なメッセージやポルノを送信する「セクスティング(sexting)」の問題が指摘されている。(c)AFP