【4月19日 AFP】何千万年もの昔に陸上を闊歩(かっぽ)していた恐竜が大量絶滅したのは、赤ちゃんではなく卵を産むその繁殖方法に原因があったとする論文が、18日発行の英国王立協会(British Royal Society)の専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)に発表された。

 研究チームは、数学モデルを用いることによって、生まれた時のサイズが種の生存を左右する決め手となったことを突き止めた。

 論文によれば、卵の殻が厚過ぎると胚が必要とする酸素を通すことができないため、卵のサイズには上限があるという。このため恐竜は比較的小さい状態で生まれざるを得なかった。わずか2~10キログラムの卵から、30~50トンもの巨体へと成長する種もいたという。史上最大級の脊椎動物だった恐竜ティタノサウルス(Titanosaur)は、成体で平均4トンと、卵からふ化した時の約2500倍の重さへと成長した。一方、現代に生きるゾウの母親の体重は赤ちゃんと比べて22倍程度だ。

 論文の共同執筆者のスイス・チューリヒ大(University of Zurich)のMarcus Clauss氏はAFPに対し、成長過程の幼竜たちは他種の同じサイズの成体と餌を奪い合う必要があったと説明した。

 これによって自然界での小・中型動物のカテゴリーは「満員状態」となり、小型恐竜が繁栄する余地が無かったのだと、論文は説明している。

■小型恐竜が繁栄できなかったため絶滅

  「生態系の中で小型種が占める領域は大きいが、(論文のシナリオでは)その領域が大型種の子どもに占領されてしまっていた。それでも1億5000万年ほどは問題なかったのだが、大型種が絶滅して小型種だけが生き残るような出来事が起きた時、小型種がいないグループは全体が消え去ることになる」(Clauss氏)

 大型種を一掃した約6500万年前の出来事は、地上の恐竜たちにとって終末を意味していた。

 白亜紀と第三紀の境目だったその頃、隕石が地球に衝突し、大量の灰とちりが空中に巻き上げられた。風で運ばれて地球全体を覆った灰とちりは、太陽光を遮断するフィルターとなり、気温が低下し植物が枯れる「核の冬」をもたらした。専門家の間では、恐竜がこれより以前に絶滅していたのか、この大惨事によって絶滅したのかについては意見が分かれている。

 Clauss氏によれば、哺乳類の赤ちゃんは恐竜ほど小さく生まれるわけではなく、さらに母乳で育つために他の動物と餌を奪い合う必要が無かったという。つまり、隕石衝突後の過酷な環境にも適応し、進化することができる小型哺乳動物が存在していたということになる。恐竜の仲間だった鳥類も、新環境に適応できた小型種だった。

 科学者らによれば、約6500万年前の大絶滅では体重約10~25キログラム以上の動物は全て絶滅したとされている。

  「私や他の人々を悩ませてきた、『なぜ哺乳類は生き残り、恐竜は絶滅したのか』という疑問に対して、非常に納得できる答えを出せたと思っている」とClauss氏は語った。(c)AFP/Mariette le Roux

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