【4月20日 AFP】サッカーJリーグ2部(J2)の町田ゼルビア(FC Machida Zelvia)で指揮を執るオズワルド・アルディレス(Osvaldo "Ossie" Ardiles)監督が、Jリーグは大金をつぎ込んでリオネル・メッシ(Lionel Messi)のような世界クラスの大物選手を獲得しなければ、資金力で勝る中国に遅れをとると忠告した。

 1978年のW杯アルゼンチン大会(1978 World Cup)で同国代表として優勝に貢献し、トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)などでプレーした経歴を持つアルディレス氏は、今のJリーグ1部(J1)は、キャリアの晩年を迎えていたジーコ(Zico)氏やドゥンガ(Dunga)氏、ギャリー・リネカー(Gary Lineker)氏らがプレーしていた過去の全盛期とはかけ離れていると指摘している。

 アルディレス監督は、アジア王者に4度輝き、サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)では16強入りを果たした日本代表が今後さらに飛躍するためには、日本人選手がもっと有力な選手から学ぶ必要があるとの見解を示した。

 東京都内で行われた記者懇親会に参加したアルディレス監督は、「少し誇張しすぎかもしれないが」と前置きしながらも、メッシを日本に呼ぶことが自身のアイデアであると明かし、「日本人選手は最高峰の選手をお手本にするべきだ」と語った。
 
 アルディレス監督は、「日本の選手はこの20年間で大きな進歩を見せた。それはJリーグでドゥンガやジョルジーニョ(Jorginho)、ラモン・ディアス(Ramon Diaz)、リネカーやジーコのような世界屈指の選手たちと対戦したからだ。今のJリーグに所属している外国人選手で最高は誰だ?誰であろうがその選手を世界基準で判断すればジョルジーニョやジーコには及ばない」と語っている。
 
■過去の日本に倣い、進化を見せ始めている中国

 アルディレス氏は、中国スーパーリーグ(1部)の上海申花(Shanghai Shenhua)がニコラ・アネルカ(Nicolas Anelka)を獲得し、さらにイングランド・プレミアリーグのチェルシー(Chelsea)に所属するディディエ・ドログバ(Didier Drogba)の獲得に動いている事例を挙げ、今では中国が過去の日本に倣っていると指摘した。

 17日に行われたAFCチャンピオンズリーグ2012(AFC Champions League 2012)のグループリーグ第4節では、豊富な財力を持った後ろ盾がある中国の広州恒大(Guangzhou Evergrande FC)が、柏レイソル(Kashiwa Reysol)から勝利を収めており、栄光が移り変わる可能性を際立たせている。
 
 アルディレス監督は、「アネルカは中国に行った。もしかしたらドログバも発つかもしれない。日本もそういう国だったが、今は違う。でもそういったことが必要だ」と語った。

■アルディレス監督「日本サッカーの次なるステップは強豪国入り」

 発足20年目を迎えたJリーグが大物選手を獲得するためには、「更なる資金が必要」であることをアルディレス監督は理解している。

 しかし知名度がプロ野球に劣っているJリーグは、入場者数の減少やテレビ視聴率の低下、スポンサー離れに苦しんでいるうえ、ドイツ・ブンデスリーガ1部のボルシア・ドルトムント( Borussia Dortmund)で活躍する香川真司(Shinji Kagawa)のように、日本で育ったスターたちが次々と海外に流出している。

 アルディレス監督は、「次のステップはブラジルやアルゼンチン、イングランドやスペインといった強豪国の仲間入りを果たすことだ。日本はもう限界に近づいている。それは文化の問題だ。サッカーが日本で最も影響力を持ったスポーツにならなければないけない」と語った。

 1978年に母国アルゼンチンで開催されたW杯を優勝した後、外国人選手の英国リーグ(現プレミアリーグ)移籍の先駆者となり、トッテナムに10シーズン以上在籍したアルディレス監督は、引退後も監督としてアルゼンチン、クロアチア、イングランド、イスラエル、メキシコ、パラグアイ、シリアと多くの国を渡り歩き、Jリーグでの指揮はゼルビアが4チーム目となっている。

 アルディレス監督は「一番良いことはパフォーマンスを見せることだ。でも現役を退いているのならば、二番目に良いことは監督になることだ」と語った。(c)AFP/Shigemi Sato