【4月18日 AFP】アルゼンチン政府は16日、スペイン石油大手レプソル(Repsol YPF)傘下のアルゼンチン最大の石油会社YPFの株式の過半数にあたる51%を取得し、同社の経営権を取得する方針を明らかにした。
 
 この動きは同日、アルゼンチンのクリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル(Cristina Fernandez de Kirchner)大統領と閣僚、さらにアルゼンチン各州の知事らの会議で発表された。この会議に出席した高官は、YPFが「公益企業であることを宣言する。(YPFの)資産の51%は収用されるだろう」という声明を読み上げた。

 この声明によると、YPFの株式の51%を政府が、残りの49%を石油産出州が分担して取得する計画となっている。フェルナンデス大統領はすでに今回の取得に関する法案を議会に提出しており、法案は承認される見込みだ。

■スペインは反発、EUは懸念

 スペイン政府と欧州連合(EU)は前週の時点で、アルゼンチンがYPFを国有化する計画を進めれば、外交関係が損なわれるだろうと警告していた。

 実質国有化の発表を受けてスペイン政府は直ちに対抗措置を検討すると発表。またレプソル側は17日、少なくとも100億ドル(約8100億円)の賠償を求める姿勢を示した。スペイン株式市場で同社株価が8%の急落となる中、レプソルのアントニオ・ブルファウ(Antonio Brufau)会長は「こうした行為が罰されずにいられるはずがない」と強く非難した。

 EUのキャサリン・アシュトン(Catherine Ashton)外交安全保障上級代表は17日、欧州議会で、YPFを実質国有化するというアルゼンチンの決定は、世界の投資家たちにとって「非常にネガティブなサイン」であると同時に「アルゼンチン国内の投資家の信頼も著しく傷つけるものだ」と述べた。

 一方で・フェルナンデス大統領は「国有化するつもりはない。プロの経営陣を擁する民間企業として」運営する計画だと述べている。

 YPFは1999年までアルゼンチン国有だったが、カルロス・メネム(Carlos Menem)元大統領の民営化政策の目玉として同年、スペイン・レプソルに売却された。(c)AFP