【4月6日 AFP】(一部更新、写真追加)前年3月の東北地方太平洋沖地震による大津波で流され、現在米アラスカ(Alaska)沖を漂流中の日本のトロール漁船について米沿岸警備隊(US Coast Guard)は5日、付近を航行する船舶に危険を及ぼす恐れがあるとして、砲撃によって撃沈した。

 この「幽霊船」は東日本大震災の大津波で流され、太平洋を数千キロメートルにわたって漂流した末、前月24日、カナダ沖で発見された「漁運丸(Ryou-Un Maru)」。

 アラスカ沿岸警備隊のサラ・フランシス(Sara Francis)報道官はAFPの取材に「漁船は現在、海洋航行上の重大な危険要因となっているため、沈めることになった」「船の全長は150~200フィート(約45~60メートル)で、無人で明かりもなく漂流している。暗闇では、海域を航行する他の船舶にとって非常に危険な存在だ」などと説明した。

 漁運丸の所有者は返却は不要と伝えているという。カナダ船が引き揚げを検討し5日早朝に接近調査を行ったが、えい航や引き揚げは困難と判断、砲撃が開始された。

 米沿岸警備隊によると、まず25ミリ砲で集中砲火を行い、これによって漁運丸は炎上、船体が傾いた。沿岸警備隊は午後に2回目の集中砲火を行い、現地時間午後6時15分(日本時間6日午前11時15分)、漁運丸の沈没を確認したという。

 漁船に積載されていた可能性のある燃料はディーゼル燃料ですぐに分解されるため、撃沈による海洋汚染の恐れはないと米沿岸警備隊は説明している。(c)AFP

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