【4月3日 AFP】韓国で生タコを食べて窒息死したとされていた女性が、恋人に殺害された疑いが出てきたとして、恋人の男が殺人容疑で逮捕された。韓国の検察当局が3日、発表した。

 ソウル(Seoul)西部、仁川(Incheon)のLee Geon-Tae検察官は、数か月間の捜査の末、「キム容疑者(31)」が3月30日に逮捕されたと述べた。キム容疑者は今後10日以内に起訴される見通し。

「容疑者は現在も容疑を否認しているが、われわれは起訴するに十分な証拠を集めたと考えている」と同検察官は語った。

■死の1週間前に生命保険

 キム容疑者は2010年4月、仁川のレストランでナッチと呼ばれる小型の生きたタコ2匹を購入し、恋人とホテルにチェックインした。しばらくして、ホテルのフロントに同容疑者から電話があり、恋人がタコを食べて倒れ、息をしなくなったと語ったという。女性は病院に搬送されたが、脳の損傷により16日後に死亡した。

 死亡したユンさん(24)の家族は、タコの足がのどに詰まっているのが見つかったことから、娘の死因が窒息だったことを信じた。ユンさんの遺体はその後火葬された。

 だがその後、ユンさんの父親が、娘が死の1週間前にキム容疑者を受取人にした生命保険に加入していたことを突き止めた。

■容疑者は関与を否定

 この事件は、前年にテレビで父親のインタビューが放映されたことをきっかけに公になった。父親は2010年9月に検察当局にキム容疑者の捜査を要請していたという。

 仁川市警は事件の再捜査を決定し、キム容疑者から事情を聴取。キム容疑者は生命保険で2億ウォン(約1500万円)を得たものの、ユンさんの死に対する一切の関与を否定した。

 警察は、キム容疑者がユンさんののどにタコを押し込んだか、あるいは、枕などの物体でユンさんを窒息させた可能性もあると考えているという。

 ナッチは韓国と中国の周辺水域に生息するタコで、おどり食いで有名。(c)AFP