【4月3日 AFP】パキスタンの裁判所は2日、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の最高指導者で米軍に殺害されたウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者の3人の妻と成人年齢に達した娘2人を不法滞在で有罪とし、45日の拘留刑と国外追放処分を言い渡した。

 ビンラディン容疑者のサウジアラビア人の妻ハイリア・サバル(Khairiah Sabar)被告、シハム・サバル(Siham Sabar)被告とイエメン人の妻アマル・アブドルファタハ(Amal Abdulfattah)被告は、パキスタン・アボタバード(Abbottabad)の住宅で2011年5月2日に米海軍特殊部隊SEALsの奇襲で夫が殺害された後、パキスタン当局に拘束されていた。
 
 被告らが暮らしていた首都イスラマバード(Islamabad)近郊の豪華な2階建ての住宅に臨時の法廷が作られ、審理は3時間で終わった。家の門の前には警察がバリケードを作った。被告らは報道陣を避けるためこの家で拘留される。

 弁護人は、妻らが正式に逮捕された3月3日以降の日数が拘留期間に算入され、国外追放の手続きは2週間以内に完了する見込みだと話している。この弁護人によると妻らの健康状態は良好で、法廷で全員が証言したという。3人の妻にはそれぞれ子供がいるが、12歳以上の子供たちだけが起訴された。

 ビンラディン容疑者の妻のなかで30歳と最も若いアマル被告の兄弟で、パキスタン当局に拘束されているアマル被告やその子供たちの健康を気遣ってイエメンからやってきたザカリヤ・アハマド・アブドルファタハ(Zakarya Ahmad Abdulfattah)氏によると、被告1人につき1万ルピー(約9000円)の罰金も言い渡され、妻らは全額を支払ったという。

■パキスタン潜伏中に4人の子供

 パキスタンは国内で米軍にビンラディン容疑者を殺害されて面目をつぶされただけでなく、パキスタン政府関係者のなかに同容疑者をかくまっていた者がいるとの臆測も呼んだ。

 警察の報告書によると、ビンラディン容疑者は9.11米同時多発テロの後、10年以上パキスタンで潜伏生活を送り、この間に4人の子供をもうけた。

 取り調べで得られたアマル被告の供述から、2001年にアフガニスタンを離れ2011年5月に54歳で死亡するまでのビンラディン容疑者の生活の新たな事実が明らかになった。

 アマル被告によると、米同時多発テロ後に一家は離散し、アマル被告はビンラディンとの間にもうけ、アフガニスタンで出産した長女のサフィア(Safia)さんを連れてカラチ(Karachi)に逃れた。カラチには8~9か月程度滞在。その間はパキスタン人の家族やビンラディンの長男サード(Saad)氏などが手配した家を転々としていたという。

 その後、パキスタン北西部ペシャワル(Peshawar)でビンラディン容疑者と合流。同国北西部のスワート(Swat)地方で8~9か月ほど過ごした後、イスラマバードから1時間半ほどの距離にあるハリプール(Haripur)で2年ほど暮らし、2005年にアボタバードに移ったという。

 潜伏生活中、アマル被告とビンラディン容疑者の間には、さらに4人の子供が生まれているが、このうち2人は公立病院で出産したという。

 米国やザカリヤ・アハマド・アブドルファタハ氏によると、米軍がビンラディン容疑者を襲撃した際、アマル被告は夫をかばって負傷したという。(c)AFP/Sami Zubeiri