「犬のいる職場」はストレス度が下がる、米研究
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【4月1日 AFP】熾烈(しれつ)なビジネス競争の中で生産性向上を図りたい企業は、従業員を飼い犬と一緒に出勤させることを検討してみてはどうだろう。
職場に犬がいると、その飼い主のストレス度が下がる上、他の従業員の仕事の満足度アップにも貢献できるという研究結果が30日、職場の保健管理に関する国際専門誌「International Journal of Workplace Health Management」最新号に掲載された。
病院や介護施設での犬の癒し効果はこれまでの研究で証明されているが、職場での犬の効果に特化した研究は今回が初めてだという。
■すぐにどこでもできる低コストの健康管理
研究チームを率いた米バージニア・コモンウェルス大学(Virginia Commonwealth University)のランドルフ・ベーカー(Randolph Barker)教授は「職場に犬がいると良い効果が生まれる」と明言する。犬が「ストレスに対する素晴らしい緩衝材」となって生産性が向上し、欠勤を防ぎ、従業員のやる気を高めるという。「すぐにでも多くの組織で実行できる、低コストの健康管理」だと同教授は推奨している。
研究対象となったのはノースカロライナ(North Carolina)州グリーンズボロ(Greensboro)にある大型食器販売店リプレイスメンツ(Replacements)の従業員だ。販売拠点はアメリカン・フットボールのスタジアム7個分という巨大店舗で、売上のペースも速い。この企業では15年以上にわたり、550人余りの従業員たちに職場に犬を連れて来ることを許可している。
今回は社長以下76人のボランティアを、飼い犬と一緒に出勤するグループ、ペットを飼ってはいるが職場には連れて来ないグループ、ペットをまったく飼っていないグループの3つに分けた。
まず全員に起床時に採取してもらった唾液のサンプルから、出勤日の最初は皆、ストレスホルモンのレベルが低いことが確認された。しかし数時間後の自己申告では、職場に飼い犬を連れて来た人たちはストレス度が下がったと報告したが、その他の2つのグループは上がったと報告した。
ベーカー教授によると「犬がいる日といない日で、ストレスの認識度には著しい差が出た」ものの、「従業員全体の仕事に対する満足度は業界水準よりも高かった」という。
■コミュニケーションの円滑油にも
さらに研究チームは、犬たちが従業員同士の交流を大きく促していることも発見した。例えば、ペットを飼っていないスタッフが犬を連れてきた同僚に、自分が犬を散歩をさせようかと提案するなどだ。
もちろん万事が完璧なわけではなく、参加者のコメントからは、仕事の邪魔になる犬がいたという感想や、しつけやアレルギーの問題が指摘された。
しかし研究チームは今後もさらに様々な職場で、もっと期間の長い実験を行っていきたいとしている。また職場に1日中いた場合、犬にとってはどの程度ストレスとなるのかについても研究したい考えだ。
米動物愛護団体「全米人道協会(Humane Society of the United States、HSUS)」によると、米国には全国で7820万匹の犬がおり、3世帯に1世帯が犬を飼っている計算になる。同団体は、雇用者側に犬を受け入れる意識を高めてもらおうと、2008年に「犬のいる職場ガイド」を作成している。
HSUSによれば、2年前にセントラル・ミシガン大学(Central Michigan University)の研究者たちは、職場のグループの中に犬がいると従業員相互の信頼が高まり、共同作業がよりうまくいくことを突き止めている。(c)AFP/Robert MacPherson
職場に犬がいると、その飼い主のストレス度が下がる上、他の従業員の仕事の満足度アップにも貢献できるという研究結果が30日、職場の保健管理に関する国際専門誌「International Journal of Workplace Health Management」最新号に掲載された。
病院や介護施設での犬の癒し効果はこれまでの研究で証明されているが、職場での犬の効果に特化した研究は今回が初めてだという。
■すぐにどこでもできる低コストの健康管理
研究チームを率いた米バージニア・コモンウェルス大学(Virginia Commonwealth University)のランドルフ・ベーカー(Randolph Barker)教授は「職場に犬がいると良い効果が生まれる」と明言する。犬が「ストレスに対する素晴らしい緩衝材」となって生産性が向上し、欠勤を防ぎ、従業員のやる気を高めるという。「すぐにでも多くの組織で実行できる、低コストの健康管理」だと同教授は推奨している。
研究対象となったのはノースカロライナ(North Carolina)州グリーンズボロ(Greensboro)にある大型食器販売店リプレイスメンツ(Replacements)の従業員だ。販売拠点はアメリカン・フットボールのスタジアム7個分という巨大店舗で、売上のペースも速い。この企業では15年以上にわたり、550人余りの従業員たちに職場に犬を連れて来ることを許可している。
今回は社長以下76人のボランティアを、飼い犬と一緒に出勤するグループ、ペットを飼ってはいるが職場には連れて来ないグループ、ペットをまったく飼っていないグループの3つに分けた。
まず全員に起床時に採取してもらった唾液のサンプルから、出勤日の最初は皆、ストレスホルモンのレベルが低いことが確認された。しかし数時間後の自己申告では、職場に飼い犬を連れて来た人たちはストレス度が下がったと報告したが、その他の2つのグループは上がったと報告した。
ベーカー教授によると「犬がいる日といない日で、ストレスの認識度には著しい差が出た」ものの、「従業員全体の仕事に対する満足度は業界水準よりも高かった」という。
■コミュニケーションの円滑油にも
さらに研究チームは、犬たちが従業員同士の交流を大きく促していることも発見した。例えば、ペットを飼っていないスタッフが犬を連れてきた同僚に、自分が犬を散歩をさせようかと提案するなどだ。
もちろん万事が完璧なわけではなく、参加者のコメントからは、仕事の邪魔になる犬がいたという感想や、しつけやアレルギーの問題が指摘された。
しかし研究チームは今後もさらに様々な職場で、もっと期間の長い実験を行っていきたいとしている。また職場に1日中いた場合、犬にとってはどの程度ストレスとなるのかについても研究したい考えだ。
米動物愛護団体「全米人道協会(Humane Society of the United States、HSUS)」によると、米国には全国で7820万匹の犬がおり、3世帯に1世帯が犬を飼っている計算になる。同団体は、雇用者側に犬を受け入れる意識を高めてもらおうと、2008年に「犬のいる職場ガイド」を作成している。
HSUSによれば、2年前にセントラル・ミシガン大学(Central Michigan University)の研究者たちは、職場のグループの中に犬がいると従業員相互の信頼が高まり、共同作業がよりうまくいくことを突き止めている。(c)AFP/Robert MacPherson