【3月30日 AFP】吸血鬼イカ(vampire squid)、停止灯を持つ緩い顎(stoplight loosejaws)、剛毛の生えた口(bristlemouth)――これらは全て、発光する深海生物の名前だ。和名ではそれぞれコウモリダコ、オオクチホシエソ、オニハダカとなる。

 31日から米ニューヨーク(New York)のアメリカ自然史博物館(American Museum of Natural History)で開催される特別展示「Creatures of Light: Nature's Bioluminescence(光の生き物たち:自然界の生物発光)」では、この他にも主に深海に生息するさまざまな発光生物が紹介される予定だ。

 同博物館のエレン・ファッター(Ellen Futter)館長は、「めったに見ることのできない、極めて神秘的かつ幻想的な自然界の生物や現象を紹介します」と報道陣に語った。

 発光する生物といえば、夏の庭先で光のダンスを繰り広げるホタルや、洞窟に住むツチボタルは比較的よく知られている。だが、発光生物の約80%は海中に生息する魚やイカなどで通常、水深約400メートル以上に生息している。

 これらの生物は、他の発光生物を食べたり、体内に発光する微生物を共生させたりすることによって体を光らせる。その用途は多岐にわたり、異性へのアピールから捕食生物に対する防衛手段、さらに面白いことに、餌となる生物をおびき寄せるためにも使われている。

 深海の発光生物には、赤や青の目を持つコウモリダコや、先端が光る釣り竿状の突起で鋭い歯が並んだ恐ろしい口中へ獲物を誘い込むチョウチンアンコウなどがいる。

 特別展示はカナダ自然博物館(Canadian Museum of Nature)とシカゴ(Chicago)のフィールド自然史博物館(Field Museum of Natural History)との共催で、2013年1月6日まで。(c)AFP