【3月30日 AFP】独立監査機関「公正労働協会(Fair Labor AssociationFLA)」は29日、米アップル(Apple)の電子機器向け部品の生産を請け負う中国の3工場における労働環境が劣悪だとの報告書を発表した。

 調査対象となったのは、アップル最大の部品製造元の台湾系メーカー、富士康科技集団(フォックスコン、Foxconn)が中国国内に持つ3工場。これらの工場では労働者が中国の法定労働時間の週76時間を超えて働いていたほか、中には労働法が定める24時間の休憩なしに7日間連続で働かされていた例もあったという。

 FLAのオーレ・ファン・ヒールデン(Auret van Heerden)会長は、この3工場・従業員3万5000人以上の勤務状況について徹底調査したと説明。アップルと富士康科技集団との合意に基づき、調査の検証結果と進捗状況は今後、公表すると述べた。

 1か月以上におよぶ調査では、基準を超える残業や、残業代が適切に支払われていない実態に加え、従業員らが健康や安全上のリスクを負い「致命的なコミュニケーション欠如」が存在する状況も明らかになった。

 富士康科技集団は、労働時間を含め傘下工場の労働環境を、来年7月までに中国法およびFLA基準に完全に準じたものとすると約束したという。

 富士康科技集団工場に関する調査報告書は、アップルのティム・クック(Tim Cook)最高経営責任者(CEO)の中国訪問に合わせて発表された。中国国営新華社(Xinhua)通信によると、クック氏は27日、北京(Beijing)で李克強(Li Keqiang)副首相と会談。李副首相は中国内の外国企業は労働者保護により注意を払う必要があると意見したという。(c)AFP

【関連記事】
台湾フォックスコン、従業員50万人をロボット100万台で置き換えへ
止まらない自殺連鎖、台湾系フォックスコン工場でまた1人死亡
中国iPhone工場の連続自殺、デルやソニーも実態調査