【3月26日 AFP】西アフリカのセネガルで25日に行われた大統領選の決選投票は、同日夜までにマッキー・サル(Macky Sall)元首相(50)の得票が現職のアブドゥラエ・ワッド(Abdoulaye Wade)大統領(85)を大幅に上回ることが確実となり、ワッド氏が敗北を認めた。

 前月26日に実施された大統領選の第1回投票で得票が過半数に達した候補がいなかったため、ワッド大統領とサル氏の上位2人による決選投票が行われた。

 投票は現地時間の25日午後6時(日本時間26日午前3時)に締め切られた。国営メディアはサル氏がワッド氏の倍以上の得票という圧倒的過半数で勝利を確実にしたと速報した。セネガルメディアによると、ワッド大統領は最初の暫定結果が発表された25日夜(日本時間26日朝)、サル氏に電話で当選を祝う言葉を伝えたという。

 ワッド氏の予想外の敗北宣言に先立ちサル氏の選挙本部前に集まっていた支持者ら数千人は、踊ったりラッパを吹き鳴らしたりしながら通りへ繰り出した。

■民主的な政権交代へ

 選挙前はワッド大統領が3選するとの予想もあったが、ワッド大統領が速やかに敗北を認めたことで、アフリカの先駆的な民主主義国家としてのセネガルの名声は保たれる見込みだ。

 ワッド氏が当時のアブドゥ・ディウフ(Abdou Diouf)大統領を破った2000年3月の大統領選挙では、ディウフ氏がワッド氏に電話で当選を祝福し、民主的な元首交代と高く評価された。

 2007年の前回選挙は、ワッド氏が第1回投票で55%の票を獲得して再選された。だが食料価格の高騰や多発する停電に加え、長男のカリム(Karim Wade)氏への権力継承を狙っているとの臆測が広がり、近年は人気に陰りが出ていた。

 セネガルの憲法は大統領の3選を禁じている。だが、ワッド大統領は「3選禁止規定」は自身の任期中に発効したもので今回は3選に当たらないと主張。憲法評議会もこれを認めたことで抗議デモが拡大し、第1回投票までに6人が死亡する事態になっていた。
 
 積極的にインフラ整備を進めたワッド大統領に一定の評価を与える向きもあるが、批判勢力は非現実的な大型プロジェクトに偏重した結果、グッド・ガバナンス(良い統治)を目指す計画が損なわれたと主張している。

 さらに前週、隣国マリでクーデターが発生したことから、欧州連合(EU)の選挙監視団はセネガルに対し、混乱する地域のなかにあって確固たる民主主義国家としての信用を示すよう求めていた。(c)AFP/Fran Blandy

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