【3月22日 AFP】米グーグル(Google)の無料オンライン地図情報サービス「ストリートビュー(Street View)」は21日、自宅にいながら南米アマゾン盆地(Amazon Basin)の大自然や集落を探索できる機能を追加した。

 ストリートビューはグーグルマップ(Google Map)やグーグルアース(Google Earth)から利用できる機能。今回の試みは、世界最大の河川であるアマゾン川の支流であるネグロ川(Rio Negro)や周辺の野生生物、保護地区内最大の集落トゥンビラ(Tumbira)村などの様子をネット上で仮想探索することができる史上初のプロジェクトとなった。

 発案者のアマゾナス持続可能財団(Amazonas Sustainable FoundationFAS)は、これまで道路に沿った風景を写していたストリートビューを、アマゾン盆地の貴重な大自然を写す「リバービュー」に変えようと提案。昨年8月にトゥンビラ村で撮影が始められた。

 撮影はカメラが取り付けられた「トライク」と呼ばれる3輪自転車を使って行われ、衛星を利用した測位機器によって撮影位置が特定される。

 グーグルのチームは、学校やコミュニティセンターなどの公共の場を撮影するために作られたカメラとトライクの使用方法を、FASのメンバーや地元住民に教えた。このカメラの魚眼レンズによって空から地面まであらゆる方向が写真に収められ、熱帯雨林の探索を再現する。

 FASはこのプロジェクトを通じ、人々にアマゾンの驚異を身近に感じてもらうだけでなく、人間が熱帯雨林と共存・繁栄することが可能だということに気付いてもらえればと期待しているという。

「森林破壊は愚かさから生まれるものではありません」とFASのビルジリオ・ビアナ(Virgilio Viana)理事長はAFPに語った。「森林破壊は経済的な選択によるものです。なので、森林を残したまま人々が収入を得る方法を考えなければいけません」

 このプロジェクトの当初の目標はネグロ川流域50キロメートルを撮影することだったが、その過程で地元チームに撮影機器の使用方法を教えて範囲をさらに拡大することも目指している。(c)AFP/Glenn Chapman

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