【3月21日 AFP】仏南西部トゥールーズ(Toulouse)周辺で連続して起きている3件の銃撃事件で、兵士3人とユダヤ人学校の生徒ら4人を殺害し、スクーターで逃亡した男がさらに犯行を重ねる恐れがあるとして、フランス警察は警戒を呼び掛けている。

 仏警察は、11日に空挺部隊の非番の兵士1人が殺害された事件、15日に同じく空挺部隊員2人が殺害された事件、そして19日にユダヤ人学校でラビ(指導者)1人と生徒3人が殺害された事件は全て同一犯による犯行とみて捜査を進めている。

 当局は3つの事件で全て同一の拳銃が使用され、またそれぞれ4日の間隔を空けて犯行が行われている点を指摘している。さらにユダヤ人学校での犯行時に、男がビデオカメラを携行していたとの目撃証言があることから、犯行の動画がインターネットにアップロードされていないかどうかも含めて捜査している。

 パリ検察で対テロ捜査を指揮するフランソワ・モラン(Francois Molins)主任検察官によれば、「脅迫または恐怖によって治安を大きく脅かした」この3つの事件は、テロ事件として捜査が行われている。同検察官はこれらの犯行について「人種差別的かつ反ユダヤ的な動機による可能性があるが、テロ行為には変わりない」と述べた。殺害された3人の兵士は全て北アフリカ系のフランス人で、その他に西インド諸島フランス領出身の黒人兵士1人も重傷を負っている。

 また犯人は自分に捜査の手が伸びていることを認識しており「再び凶行に及ぶ恐れがある」と警告した。同検察官によると「殺害された被害者は全て、頭に向けて銃弾が至近距離から撃ち込まれて」おり、火薬によるやけどの痕からは銃口が頭に押し付けられていたことが判明した。

 フランス全土はこの惨劇に震撼している。全国の学校や省庁では20日、ユダヤ人学校での犠牲者の死を悼み、1分間の黙とうを捧げた。また、4月に始まる大統領選に向けた選挙活動も一時中断された。(c)AFP/Laurent Lozano

【関連記事】南仏のユダヤ人学校で発砲、4人死亡 バイク男の銃撃事件相次ぐ