【3月19日 AFP】後にマリオ(Mario)の名で有名になる男がドンキーコング(Donkey Kong)からポリーン(Pauline)を救出する旅に出、パックマン(Pac-Man)がお化けに捕まるまで可能な限りのドットを飲み込んだ日から、長い月日が流れた。

 だが真剣な話、ビデオゲームはアートなのだろうか?

■ゲームを芸術ととらえた初の展覧会

「その通り!」と、米ワシントンD.C.(Washington D.C.)のスミソニアン・アメリカ美術館(Smithsonian American Art Museum)で16日始まった展覧会「アート・オブ・ビデオゲーム(The Art of Video Games)」は主張する。

 この展覧会はゲームの豊かな創造性を称え、その裏側で繁栄を支える人々を評価するものだ。ビデオゲームがゲームセンターから家庭に移行してからの40年間を振り返る内容となっている。飛んだり跳ねたりといったゲームのアクションは、より洗練されたグラフィックで表現され、よりインタラクティブに、より物語を伝えるものに進化してきた。

「ビデオゲームの実機を使った展示は初めてではないが、ビデオゲームを芸術の1つの様式としてとらえた展示はこれが初だと確信している」と、キュレーターのクリス・メリッシノス(Chris Melissinos)氏はAFPの取材に語った。

 米国では9か月前、米最高裁がビデオゲームにも書籍やその他芸術表現と同じく、表現の自由などを規定した憲法修正第1条が適用されるとの画期的な判断を下したばかりだ。

■旧型機も紹介、ゲーマー以外も楽しめる

「アート・オブ・ビデオゲーム」では、ゲーム機20機種、80本のヒット作にスポットライトを当てている。

 中でも5つのゲーム、「パックマン」「スーパーマリオブラザーズ(Super Mario Brothers)」「The Secret of Monkey Island」「ミスト(Myst)」「Flower」は、オリジナルのジョイスティックやモーションコントローラーが用意され、来場者が壁に設置されたスクリーンで遊べるようになっている。

 かなり旧型のゲーム機、たとえば「ドンキーコング」がプレイできたコレコビジョン(ColecoVision)や、「Attack of the Mutant Camels」のコモドール64(Commodore 64)などは、プレキシガラス製ケースに収められ、まるで古代エジプトのファラオの遺物かのように展示されている。

「筋金入りのゲーマーがこの展覧会を訪れれば、『よし、異なる時代を正しく代表するゲームが揃っている』と言うはずだ」と、米誌「ワイアード」のウェブサイト「Wired.com」のゲーム編集者で展覧会のアドバイザーを務めたクリス・クーラー(Chris Kohler)氏は語る。「ゲーマー以外の人は、ゲームが真に芸術の1様式だということやその成り立ちについて、しっかり学ぶことができるだろう」

 展覧会の映像資料は、ゲーム界の重要人物20人へのインタビューを通じて、ゲームの過去、現在、未来を紹介する。インタビュー動画は公式ウェブサイトからも閲覧可能だ。216ページに及ぶ豪華カタログによると、展覧会は9月30日まで。その後米10都市をツアーする。(c)AFP/Robert MacPherson

【参考】「アート・オブ・ビデオゲーム」、ゲーム界の重要人物インタビュー(英語)