【3月19日 AFP】ロシア・モスクワ(Moscow)市内のテレビ塔「オスタンキノ・タワー(Ostankino Tower)」前で18日、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)首相の大統領当選に抗議する約500人が未許可のデモを行い、約100人が警察に身柄を拘束された。

 デモは、プーチン首相が勝利した4日の大統領選挙前から、ドキュメンタリー番組として「反プーチン運動は欧米から資金援助を受けている」というプーチン氏寄りの内容の番組を相次いで放送したNTVテレビのボイコットを呼びかけるために行われた。

 テレビ放送センターを警備するヘルメット姿の警官数十人を前に、デモに参加した約500人は「NTVは恥を知れ」「プーチンのいないロシアを」などと叫んだ。

 現場にいたAFP記者は、野党指導者のボリス・ネムツォフ(Boris Nemtsov)氏やセルゲイ・ウダルツォフ(Sergei Udaltsov)氏をはじめ、12年におよぶプーチン氏支配への抗議を表す白いリボンを身につけた30人あまりの活動家とともに現場から連れ去られたのを目撃した。民間ラジオ「モスクワのこだま(Echo of Moscow)」によると、モスクワ市内の各警察署に連行されたデモ参加者の数は100人に達した。

■反プーチン派に西側から資金?

 かつては独立系の放送局だったNTVは、現在では政府系ガス会社ガスプロム(Gazprom)の傘下に入っている。15日夜にも、この冬にモスクワ市内で行われた小規模な反プーチンデモの参加者が現金を受け取っている映像を放送した。

 だが、このデモの参加者のうち数人が、「NTVが出した求人広告に応募して、NTVとの間で合意した場所に行った」と、この週末、複数の民間メディアに語っていた。

 2000年にプーチン首相が初めて大統領になった翌年に政府の管理下に入ったNTVだが、かつては1990年代のチェチェン紛争で行われた残虐行為を告発する番組や、ロシアの指導者を風刺する同国では前例のないレギュラー番組を放送していた。(c)AFP/Dmitry Zaks