<インタビュー>『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』フィリダ・ロイド監督
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【3月15日 MODE PRESS】今年度アカデミー賞受賞作『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』が3月16日に公開される。妥協を許さない態度で英国に繁栄をもたらした一方で、厳しい政策をとり、多くの反感も買った英国初の女性首相を表舞台では見せなかった“一人の女性”としての一面を捉えた作品だ。当時の時代背景のなかで、女性が男性と同等に社会で戦っていくことの代償や逃げられない老齢という現実、それら普遍的なテーマを描いた姿に、観る人の心は大きく揺さぶられる。公開に先駆け、主演女優のメリル・ストリープ(Meryl Streep)とともに来日したフィリダ・ロイド(Phyllida Lloyd)監督に作品について話を聞いた。
-作品を通じて、改めてサッチャーを知った
英国出身のロイド監督は、自身もサッチャー政権下を過ごした経験の持ち主。当時の話を聞くと「私は20代で、サッチャーに対して否定的な見方をしていました。彼女はとても厳しい政策をとり、労働者に対して無情でした。私は演劇界にいましたが、彼女はアートや芸術に対する理解がありませんでした」と振り返る。
しかし同作では、サッチャーを単なる恐ろしい人物として描いていない。作品を撮るにあたり、サッチャーの見方が変わったと監督はいう。「私の政治的な見解は変わっていませんが、作品を撮るにあたり、彼女の様々な面を知り、とても感動し、多くの刺激を受けました」とロイド監督。「マーガレット・サッチャーは、女性であり、かつ下級階層出身であることから非常に苦労しました。地方に敵がいたことは知っていましたが、党内にまでも敵がいて、孤立していたことは知りませんでした。そんな中、強い信念を持ち、自分の直感を信じて行動する姿にとても刺激を受けました。皮肉っぽさが彼女にはありませんが、その点も好感が持てました」
-作品を引き立てるファッション
劇中、印象的なのは、首相になっても女性らしさを失わないサッチャーの姿だ。「この作品においてファッションは、マーガレット・サッチャーの“旅”を意味しています。実際に彼女が着ていた衣装に基づくものもありますが、作品の衣装は彼女の進展をより抽象的に表すものになっています」と分析する。若い頃は優しい水色を着ていた彼女が、時とともに自信を増すようになり、ブルーが濃くなっていく。犠牲者も出たフォークランド戦争時には、温かみのあるツイードやリボン付ブラウスを着用している。「突然サッチャーがショッキングな赤を着るシーンでは、観客は“何か違う!”と思うでしょう。ファッションが詩的で、ドラマを引き立てるような要素を持っています」
さらにロイド監督は、80年代のトレンドにおいて重要な“肩パット”が普及したことがサッチャーの存在をより強固なものにしたと続けた。「英国女性はそれまで、シルエットのはっきりしない柔らかな服を着ていました。それが肩パットにより、男らしくかっちりとしたフォルムが確立された。同時に髪型も変え、サッチャーは威厳と貫禄ある風貌になったのです」
―映画と自分を照らしあわせて
忙しく仕事をするあまり、夫や子供を犠牲にすることもあったサッチャーだが、夫が他界した後に、それまでの人生においてどれだけ家族を犠牲にしたかを深く後悔する。サッチャーと同じく、表舞台で働くロイド監督も、作品を通じてこのジレンマについて考えたという。「今回、作品の監督も脚本も主演もみな女性でした。みなそれぞれ、サッチャーの人生と作品のテーマを自分と照らし合わせ、考えました。仕事をする上では、成功など良い面もあれば、やはり悪い面もある。支えてくれる影の人がいても、それに気付かないこともあれば、子供が犠牲になることもあります」とロイド監督。
サッチャーの人生と照らし合わせたという点では、監督デビュー作『マンマ・ミーア』の撮影を振り返り「カメラマン含め周りが男性スタッフばかりで、まるでサッチャーが議会に入っていくような気持ちでした」と語った。(c)MODE PRESS
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-作品を通じて、改めてサッチャーを知った
英国出身のロイド監督は、自身もサッチャー政権下を過ごした経験の持ち主。当時の話を聞くと「私は20代で、サッチャーに対して否定的な見方をしていました。彼女はとても厳しい政策をとり、労働者に対して無情でした。私は演劇界にいましたが、彼女はアートや芸術に対する理解がありませんでした」と振り返る。
しかし同作では、サッチャーを単なる恐ろしい人物として描いていない。作品を撮るにあたり、サッチャーの見方が変わったと監督はいう。「私の政治的な見解は変わっていませんが、作品を撮るにあたり、彼女の様々な面を知り、とても感動し、多くの刺激を受けました」とロイド監督。「マーガレット・サッチャーは、女性であり、かつ下級階層出身であることから非常に苦労しました。地方に敵がいたことは知っていましたが、党内にまでも敵がいて、孤立していたことは知りませんでした。そんな中、強い信念を持ち、自分の直感を信じて行動する姿にとても刺激を受けました。皮肉っぽさが彼女にはありませんが、その点も好感が持てました」
-作品を引き立てるファッション
劇中、印象的なのは、首相になっても女性らしさを失わないサッチャーの姿だ。「この作品においてファッションは、マーガレット・サッチャーの“旅”を意味しています。実際に彼女が着ていた衣装に基づくものもありますが、作品の衣装は彼女の進展をより抽象的に表すものになっています」と分析する。若い頃は優しい水色を着ていた彼女が、時とともに自信を増すようになり、ブルーが濃くなっていく。犠牲者も出たフォークランド戦争時には、温かみのあるツイードやリボン付ブラウスを着用している。「突然サッチャーがショッキングな赤を着るシーンでは、観客は“何か違う!”と思うでしょう。ファッションが詩的で、ドラマを引き立てるような要素を持っています」
さらにロイド監督は、80年代のトレンドにおいて重要な“肩パット”が普及したことがサッチャーの存在をより強固なものにしたと続けた。「英国女性はそれまで、シルエットのはっきりしない柔らかな服を着ていました。それが肩パットにより、男らしくかっちりとしたフォルムが確立された。同時に髪型も変え、サッチャーは威厳と貫禄ある風貌になったのです」
―映画と自分を照らしあわせて
忙しく仕事をするあまり、夫や子供を犠牲にすることもあったサッチャーだが、夫が他界した後に、それまでの人生においてどれだけ家族を犠牲にしたかを深く後悔する。サッチャーと同じく、表舞台で働くロイド監督も、作品を通じてこのジレンマについて考えたという。「今回、作品の監督も脚本も主演もみな女性でした。みなそれぞれ、サッチャーの人生と作品のテーマを自分と照らし合わせ、考えました。仕事をする上では、成功など良い面もあれば、やはり悪い面もある。支えてくれる影の人がいても、それに気付かないこともあれば、子供が犠牲になることもあります」とロイド監督。
サッチャーの人生と照らし合わせたという点では、監督デビュー作『マンマ・ミーア』の撮影を振り返り「カメラマン含め周りが男性スタッフばかりで、まるでサッチャーが議会に入っていくような気持ちでした」と語った。(c)MODE PRESS
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