【3月7日 AFP】オーストラリア南東部は今月初めから水害に見舞われている。ニューサウスウェールズ(New South Wales)、クイーンズランド(Queensland)、ビクトリア(Victoria)の3州で洪水が発生し、水路を車で渡ろうとした男性2人が流されて死亡したほか、住宅数百棟が浸水するなど、大規模な被害が出ている。

 ジュリア・ギラード(Julia Gillard)首相は、いくつかの地域に軍を派遣したほか、事態が深刻化すれば他の町にも派遣するため待機させていると述べた。

 ここ数十年で一番雨の多い夏を過ごしたニューサウスウェールズ州の州都シドニー(Sydney)は、秋に入ってから雨が続いている。 同州ワガワガ(Wagga Wagga)とその周辺地域では、マランビジー川(Murrumbidgee River)の水位が堤防の限界に近い10.6メートルに達すると予測されたため、約8800人に避難命令が出された。

 しかし同州の非常事態当局によると、水位は10.56メートルをピークに低下傾向に転じた。州当局は安全な水位になるには36時間ほどかかる可能性があるとして、まだ住民に帰宅を許可していない。

■1844年以来の水位

 今回の洪水でマランビジー川の水位は1844年以来の高さに達した。ワガワガは1840年代にヨーロッパから入植者が来たころから何度か大規模な水害に見舞われてきたため、住民たちは避難命令によく対応できたと当局者は話している。

 当局者は、今後数週間はワガワガの下流に位置する地域で洪水が起きる恐れがあると話している。ニューサウスウェールズ州では1万3000人以上に避難勧告が出されているほか、少なくとも250の地所が浸水しており、水位が上がったために孤立した集落も出ている。

 オーストラリア東部は2011年初めにも大規模な水害が発生し、30人以上が死亡し、クイーンズランド州の州都ブリスベーン(Brisbane)を含む広い範囲が浸水した。(c)AFP/Madeleine Coorey