【3月5日 MODE PRESS】ニューヨークを拠点にジュエリーデザイナーとしてデザインワークを続けるスティーブン・デュエック(STEPHEN DWECK)。昆虫や動物など自然界のモチーフにインスパイヤされた独特の作品は、繊細で美しく、力強さを秘めたデザインが特徴だ。ハリウッドセレブをはじめ世界中のファッションピープルを魅了し続けている。昨年デザイナー人生30周年を迎えたデザイナーのスティーブン・デュエック氏に話を聞いた。

■日本が好きな理由

 日本の文化はもちろんのこと、顧客の方たちはとても確立されていてそれぞれに自分のスタイルを持っています。日本の街、京都や大阪、東京・・・いつどこを訪れても常にアートが溢れている点も日本は素晴らしい。先日街を歩いている時に、マンホールのデザインがとても素敵だと思いました。そういったひとつひとつがとても美しいですね。日本の文化と美意識、私自身が美しいと思うものの価値観、多くの点において共通していると思っています。

■スティーブン デュエックにとって大切なこと

 私の顧客には、“コレクター”の方が多くいます。彼女たちが10年前に買ってくださったジュエリーも、新しいコレクションも、常に時代を感じさせない飽きの来ないデザインであるよういつも意識しています。そういった意味で、30年間といってもデザインは常に進化しているといってもよいでしょう。

 ブランドの象徴的なモチーフでもある「アダム」は、今から21年前、当時庭で育てていた薔薇をコガネムシが食べていたところに出くわしたことで誕生しました。アダムの原型はそのときに見つけたコガネムシです。最初、アダム(コガネムシ)は緑色でしたが、光の加減で地面の茶色と同化したりと神秘的な美しさを秘めていました。そこから素材を変え、現在さまざまな「アダム」を展開しています。数ある虫のなかで、最もブランドを象徴するモチーフです。自然のモチーフや素材をデザインに落とし込み、息を吹き込むのが、私のジュエリーデザインにおける大きなポイントです。「スティーブン デュエック」にとって大切なことは、本来自然が持っている“エネルギー”をジュエリーでどのように表現するか。これが非常に重要なことです。

■ジュエリーに息を吹き込むのは・・・

 自然の持つ神秘的な力は素晴らしい。「スティーブン デュエック」のジュエリーは、まず自然がデザインをはじめ、私がそのデザインを仕上げますが、最終的に息を吹き込むのはお客様であると考えています。ギャラリーに展示されるのでなく、実際身に着けてもらうことで、私のジュエリーに命が吹き込まれるのです。ストーンのジュエリーを身に着けることによって、その人が心の中からハッピーになれるようなジュエリーです。その原石が見て感じ、通ってきた“歴史”を、今“ファッション”のひとつとして身にまとうことができる。とてもドラマティックなことです。

■リアリティこそ美しい

 世界中の美術館で展示してもらうことも、ハリウッドのセレブリティが身につけてくれることも非常に光栄です。しかしなによりも嬉しいのは、リアルなお客さまが、リアルな生活に密着したなかで身に付けてくれることです。たとえ別々のお客さんが同じ物を買ったとしても、それぞれが違った個性によって身につけてくれている姿を目にするのは、とても誇らしい。そんな瞬間を目の当たりにした時、なにものにも代え難い美しさと感動を覚えます。日々一緒に働いているスタジオのスタッフにもこの感覚を共有してほしいので、そんなシーンに出会った時は写真を撮るようにしています。日本でもそういったシーンに出会しましたよ。

■これからの30年に向けて・・・

 気がつけば30年経っていましたが、いまはこれからの30年にむけてがんばることが目標です。ジュエリー以外にも“装飾”をすることが大好きなのでインテリアやホームコレクションを手がけていきたいと思っています。今後のプロジェクトのことを考えるだけで毎日ワクワクしています。食べることも好きなので、チョコレートもデザインしたいですね!【岩田奈那】
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