【3月2日 AFP】シリア政府軍は1日、反体制派の拠点となっている中西部ホムス(Homs)のババアムル(Baba Amr)地区を制圧した。反体制派の自由シリア軍(Free Syrian Army)は同日、同地区から「戦略的に」撤退したとしており、反体制派の鎮圧を進めているバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権にとって1つの転換点になる可能性もある。

 前日の2月29日、アサド大統領の弟で同国防衛隊第4機甲師団を統括するマーヒル・アサド(Maher al-Assad)氏は同師団の地上部隊を投入し、掃討作戦を展開していた。

 27日間連続でホムスを砲撃してきた政府軍は、29日早朝にババアムル地区での反体制派掃討作戦を開始。攻撃は1日も続き、反体制派は撤退を開始した。

 大部分が政府軍の離反兵で構成される自由シリア軍の司令官、リヤド・アサド(Riyadh al-Asaad)大佐は、反体制派は「残った民間人を守るため、戦略的に撤退した」と述べた。

■赤十字が人道支援へ

 人権団体「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」は、1日にシリア全土で政府側の兵士8人と離反兵7人を含む39人が死亡したとし発表した。ホムスではババアムル地区の戦闘に巻き込まれた民間人17人など計21人が死亡したという。

 活動家の国際組織Avaazは、この17人は同地区近郊の農業地帯で「頭部を完全に、または一部切断された」としている。

 赤十字国際委員会(International Committee of the Red CrossICRC)のサレ・ダバケ(Saleh Dabbakeh)広報は、赤十字国際委員会とシリア赤新月社(SARC)は紛争区域へ緊急出動する準備を進めており、2日にババアムル地区へ向かい、人道的支援と負傷者の移送を行うと首都ダマスカス(Damascus)で述べた。

■負傷の仏人記者らレバノンに脱出

 フランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領は1日、シリアで脚に重傷を負ったフランス人記者のエディット・ブービエ(Edith Bouvier)氏とホムスにいたフリーランス写真記者ウィリアム・ダニエルズ(William Daniels)氏はレバノンへ脱出したと明らかにした。

 同大統領によると、医師の許可が下りれば2人は「フランス政府の医療用ヘリで今夜にも」フランスへ搬送されるという。(c)AFP