【3月1日 AFP】大型肉食恐竜ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex、T・レックス)の「噛む力」は陸上に存在するあらゆる動物の中で最強だとする論文が2月29日、英国王立協会(British Royal Society)の専門誌「バイオロジー・レターズ(Biology Letters)」に発表された。

 英リバプール大(University of Liverpool)のカール・ベイツ(Karl Bates)氏率いる古生物学者チームは、3次元(3D)コンピューターシミュレーションでT・レックスの頭蓋骨を再現し、あごを動かして筋肉の力を測定した。

 その結果、T・レックスが噛む時に1本の歯にかかる力は6トンと推定された。これは、アメリカアリゲーターの噛む力の10倍で、ゾウ1頭分の体重に相当する。ちなみに、人間は1本の歯に70~100キログラムの力しか加わらない。

 今回の発見で、古生物学者らを長く悩ませてきた論争に終止符が打たれるかもしれない。これまで一部の学者は、T・レックスの噛む力はそれほど強くなく、動物の死骸や弱った獲物を食べるのに向いていたと主張。T・レックスの筋骨格は頑強なあごの存在を示しており、ひと噛みで獲物を殺す紛うことなき捕食動物だったとする説と、真っ向から対立していた。(c)AFP